<かわら版>自主夜間中学

2009.01.17 北海道新聞朝刊地方 27頁 旭C



 「西日負う リュックサックに 夜学の書」−。昨年四月から自主夜間中学「旭川遠友塾」に通う旭川市の小畑啓子さん(75)が詠んだ俳句だ。この句が北北海道現代俳句協会の二〇〇八年度作品賞に選ばれた。


 樺太生まれ。戦後、旭川に引き揚げたが、中学に通うことができなかった。「機会があれば勉強を」と思っていたところ、同塾の開設を知った。風邪で欠席した一度を除いて通い続けていて、「学ぶことは大変だけれど、とても新鮮です」と笑顔を見せる。


 遠友塾の魅力は勉強だけでない。小畑さんは「生徒同士の出会いがある。スタッフの苦労も身に染みる」と話す。年末に取材した忘年会も、生徒とスタッフがゲームやおしゃべりを心から楽しんでいたのが印象に残った。初年度の授業を順調に進める遠友塾。今後も見守っていきたい。(旭川・五十嵐知彦)


北海道新聞社