函館に自主夜間中学…20〜80歳代の40人入学

自主夜間中学の入学式で自己紹介する人たち(函館市総合福祉センターで)

 家庭の事情などで義務教育を十分に受けることのできなかった人たちに学習機会を提供する自主夜間中学「函館遠友塾」が15日、函館市に開校した。道内の自主夜間中学は、札幌、旭川に続いて3校目。5月には釧路にも開校する予定で、道内で活動が広がりつつある。

 自主夜間中学は、民間団体が主催する自主活動組織だ。文部科学省によると、全国には35の公立夜間中学があるが、道内には存在しない。

 函館遠友塾は、札幌市で約20年前から活動する札幌遠友塾のスタッフが中心となって設立した。昨秋から地元の参加者を募り、スタッフとして会社員や学生、主婦ら約40人が参加。新入生として20〜80歳代の約40人が入学した。

 学習期間は3年間。授業は国語と数学、社会、理科、英語の5科目で、毎週水曜日の夕方に2コマ(1コマ45分)ずつ実施する。学費はプリント代などで年間2000円だ。

 入学式は15日夜、函館市総合福祉センターで行われた。新入生らの自己紹介に続き、道立七飯養護学校教諭の今西隆人代表(52)が、「一方通行ではなく、私たちにもいろんな事を教えてほしい」とあいさつした。新入生で最高齢の函館市、無職黒田正二さん(88)は「函館大火(1934年)で焼け出され、勉強しそこねたが、ようやく機会を得た。頑張って英語を勉強したい」と話していた。

 来賓として出席した札幌遠友塾の工藤慶一代表(60)は、「今後は公立の夜間中学が必要だ」と話していた。
(2009年4月16日 読売新聞)