平成2年第2回定例会


 第二回北海道議会定例会会議録

               第七号

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 平成二年七月十一日(水曜日)

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 議事日程 第七号

七月十一日午前十時開議

 日程第一、議案第一号ないし第十七号、報告第一号ないし第十八号及び第四十六号ないし第五十一号

 (質疑並びに一般質問)

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 出席議員(九十六人)

 議長  百十番  新沼 浩君

 副議長 九十番  湯本芳志君


      一番  山根泰子君

      二盤  五十嵐 勝君

      三番  井野 厚君

      四番  鰹谷 忠君

      五番  小池 昌君

      六番  風早俊男君

      七番  乙川節郎君

      八番  奥野文藏君

      九番  桜田正明君

      十番  佐藤時雄君

     十一番  菅原功一君

     十二番  高橋文明君

     十三番  永井利幸君

     十四番  野呂善市君

     十五番  三木勝夫君

     十六番  和田敬友君

     十九番  小野寺 勇君

     二十番  吉田恵悦君

    二十一番  葛 健二君

    二十二番  小山誠司君

    二十三番  佐々木隆博君

    二十四番  佐藤寛一君

    二十五番  鈴木泰行君

    二十六番  土田 弘君

    二十七番  長沢 徹君

    二十八番  西本美嗣君

    二十九番  大橋 晃君

     三十番  川崎 守君

    三十一番  深田義勝君

    三十二番  森 敏捷君

    三十三番  山口恵聖君

    三十五番  大内良一君

    三十六番  大島一郎君

    三十七番  大平盛雄君

    三十八番  柏倉勝雄君

    三十九番  菊地芳郎君

     四十番  藤沢一雄君

    四十一番  相沢武彦君

    四十二番  勝木省三君

    四十三番  国本康夫君

    四十五番  畠山 博君

    四十六番  平井 進君

    四十八番  湯佐利夫君

    四十九番  綿貫健輔君

     五十番  青山 章君

    五十一番  岩本 允君

    五十二番  木本由孝君

    五十三番  桜井外治君

    五十四番  佐々木行雄君

    五十五番  高橋康之君

    五十六番  土屋良三君

    五十八番  中川義雄君

    五十九番  橋 浪蔵君

     六十番  久田恭弘君

    六十一番  松崎義雄君

    六十二番  水岡 薫君

    六十三番  岩田徳弥君

    六十四番  浅野俊一君

    六十五番  伊藤武一君

    六十七番  高橋 庸君

    六十八番  谷川英雅君

    六十九番  三沢道男君

    七十一番  岡本栄太郎君

    七十二番  小田原要四蔵君

    七十三番  樫林 巖君

    七十四番  神本三也君

    七十五番  関根建二君

    七十六番  長岡寅雄君

    七十七番  萩上元春君

    七十八番  本間喜代人君

    七十九番  西村慎一君

     八十番  吉野之雄君

    八十一番  輪島幸雄君

    八十二番  青木延男君

    八十三番  岩崎守男君

    八十四番  渋谷澄夫君

    八十五番  鈴木誠二君

    九十一番  笠島 保君

    九十三番  小野秀夫君

    九十四番  工藤啓二君

    九十五番  高橋 鉱君

    九十六番  宇川源吉君

    九十七番  川口常人君

    九十八番  佐々木利昭君

    九十九番  高木繁光君

      百番  中崎昭一君

     百一番  平野明彦君

     百二番  古川靖晃君

     百三番  宇野眞平君

     百四番  笹浪幸男君

     百五番  藤井 猛君

     百六番  吉田政一君

     百七番  若狭 靖君

     百九番  三上 勇君

欠席議員(九人)

     十八番  大野新生君

    三十四番  遠藤常二君

    四十四番  酒井芳秀君

    四十七番  村田雄平君

    五十七番  中川隆之君

    六十六番  水野重男君

    八十六番  舟山広治君

    八十八番  吉田英治君

    百八番   西尾六七君

欠員(五人)

  十七番

  七十番

 八十七番

 八十九番

 九十二番

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列席者

 知事       横路孝弘君

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出席説明員

 副知事      我孫子健一君

 同        山中 洋君

 総務部長     鈴木正明君

 企画振興部長   鈴木弘泰君

 生活福祉部長   河合 隆君

 商工労働観光部長 大橋良二君

 農政部長     出葉良彦君

 水産部長     竹田正之君

 総務部次長    田村榮宏君

 秘書課長     古宮 諭君

 財政課長     岡崎浩巳君

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 教育長      寺山敏保君

 企画管理部長   斎藤孝雄君

 生涯学習部長   石田昌敏君

 財務課長     石谷捷二君

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事務局職員出席者

 事務局長     吉田和夫君

 議事課長     田畑宏一君

 調査課長     曽部七郎君

 議事課長補佐   宍戸 稔君

 秘書室主幹    納谷敏夫君

 速記質主幹    森山正男君

 同        加賀谷 孝君

 議事係長     早坂英樹君

 速記質主査    高田 博君

 同        仁尾静生君

 主任       根津 渉君

 主任(速記)   棚橋千賀子君

 同        戸塚久美子君

 同        山崎恵喜君

 同        村上清晴君

 主事       貞村英之君

 速記士      森田和英君

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 午前十一時二十四分開議


(四十六番平井進君)

 (登壇・拍手)(発言する者あり)私の質問時間が参りましたので、「国際識字年」に絞りまして、以下、順次、知事並びに教育長に質問してまいりたいと存じます。

 まず第一点は、「国際識字年」に対する認識及び所見についてであります。

 本年は、国連で決議されました「国際識字年」でありますが、しかし、残念ながら、この意義ある「国際識字年」の趣旨を大多数の道民は無関心で今日に至っていると思うのであります。(「そのとおり」と呼び、その他発言する者あり)あらゆる機会を通じ、積極的に道民に周知徹底し、「国際識字年」を意義あるものにすべきであると考えます。知事並びに教育長は、この意義ある「国際識字年」をどう認識しておられるのか、まず所見をお伺いしたいのであります。

 次は、道内居住者──この中にはウタリも含まれておりますが、海外引揚者及び外国籍二世、三世の識字率の実態についてであります。

 まず、本論に入る前に、なぜ二世、三世にまで日本語が必要かといいますと、理解度、そして共通性、この二つが欠けておりますと、母国語のみではなく、お世話になっている、居住しているところの日本語を知らないと、今申し上げたようないろいろな問題が出てまいります。そういう意味で、この中に含めておることを御承知願いたいと存じます。

 昭和三十九年、ユネスコが全世界を対象にそれぞれの国民の識字率を調査したのでありますが、日本政府は、我が国では識字の問題は完全に解決済みであり、現状において、識字率を高めるための特別の施策を講ずることは全くないと回答しているのであります。

 しかし、第二次大戦後、当時の占領軍の支援もありまして、読み書き能力調査委員会が行った全国的調査──日本人の読み書き能力、もう一つは、昭和三十年、文部省が行った読み書き能力調査資料によりますと──調査対象年齢及び地区は、十五歳から二十四歳までの青年を対象に関東地区と東北地区に限って調査をしたものがございます。その数字を今申し上げますので、お聞き取りをいただきたいと思います。

 まず一点は、十分読み書き能力があり、日常生活に支障がないと認められるもの、関東地区では六・一%、東北地区では二・一%。十分ではないが生活に支障のないと認められるものが、関東地区で三六・一%、東北地区で二〇・七%。十分でなく、日常生活にかなり支障があると認められるものが大部分である。しかし、この中には余り支障のないと認められるものも含まれるが、関東地区では四八・三%、東北地区では六一・五%。四番目に、読み書き能力がなく、日常生活に支障があると認められるもの、関東地区では九・五%、東北地区では一五・七%、以上のようになっております。

 調査の対象となった方々は、現在、五十歳代の年齢に達しております。もし、この人たちの識字能力がその後も高まっていないとすれば、この年代の約一割の人が、現在でも識字活動を必要としているものと推定されると報告されております。

 さらに、中国帰国孤児とその家族百十五名、韓国・朝鮮人六千二百三十八名、中国人一千三百五十名、フィリピン人五百五十七名、その他、在日外国人の二世、三世の問題も内在しております。これは全国ではなく、北海道に住んでいる数ですから、かなり住んでおるということです。

 また、私が知っているアイヌの方々の中にも、このような識字問題が存在していると聞いております。

 さらに、学校基本調査の資料によりますと、就学免除、就学猶予なども含めて就学していない者、昭和二十五年八万八千五百三十人、昭和三十年三万三千三百八十九人、昭和三十五年二万六千三百八十九人に達しております。

 一方、各種選挙における代理投票、無効投票の数は、昭和六十二年知事選挙で──これは横路知事の二回目の選挙のときです。代理投票二万六千十四票、それから無効投票が二万一千二十八票。我々道議会議員選挙が、代理投票二万六千百八十一票、無効投票五万五千四票。平成元年参議院選挙の代理投票一万一千四百九十票、無効投票九万二千百三十票。平成二年衆議院選挙、代理投票一万二百三十四票、無効投票二万一千百七十二票。これは、もちろん、体が不自由で代理投票を必要とした人も含まれておりますが、識読判断できないような方の投票がかなり含まれているということを承知いたします。

 以上の数字が示すように、道内にも明らかに非識字者が存在することは明白な事実であります。この現実を無視し、我が国における識字問題は解決済みであると報告した意図は那辺にあるのか、承服できないものがあります。

 ユネスコが、創立以来、試行錯誤を重ねながらも識字問題に取り組んできており、地球上から読み書きのできない人をなくそうを目指す識字運動の一環として、「国際識字年記念“世界寺子屋運動”名古屋・一九九〇」が六月末に名古屋国際センターで開催され、世界の十一カ国の識字運動家が参加し、その中で、カナダのバド・ホール氏の基調講演が行われましたが、その内容を申し上げますと、非識字者の存在は、貧困や構造的な不公正と結びついている。非識字者には、教育を受け、知識を得る権利が与えられるべきである。それによって、非識字者はみずからを律し、社会の発展に責任を持つ人となり得ると呼びかけております。

 また、先進工業国にも非識字者が存在していることを忘れてはなりません。私の国カナダでも、約五人に一人の割合で日常生活に必要な読み書きに困難を感じておる。アメリカ、イギリス、フランスなどでも同じ状況にあります。日本にも同じ問題があることを知ったと述べております。

 そこでお伺いしますが、知事並びに教育長は道民の識字率の実態はどの程度だとお考えなのか、お伺いいたします。

 三つ目は、識字率を高めるための対策についてでございますが、識字率を高めるための対策について全国各地でさまざまな試みが行われていると承知をいたしております。とりわけ、大阪、九州などでは、非識字者を解消するために各種の努力がなされております。部落解放研究所などでは、「識字運動とは」の本を発刊しておりますし、各種会報も発行しておるのであります。特に、寺子屋方式による学習会などを開催しているということを聞いておるわけであります。

 道内非識字者解消策として、知事及び教育長は今までどのようにしてきたのか、また、今後どのように進めようとしているのか、お伺いいたしたいと存じます。

 次は、外来語はんらんと乱用による非識字者が増加していること、この対応と今後の取り組みについてお伺いいたします。

 最近、新聞には、「カタカナ文字のはんらん」「役に立たない日本での英語教育」など、数多くの投書が出ております。一月以来、各社の新聞の投書の記事を全部とっております。その中で、いかにこの問題が深刻であるかということを皆さんが述べておる。希望であれば、後でお見せいたします。(笑声)

 最近の新聞投書では「カタカナ文字のはんらん」「役に立たない日本での英語教育」などなど、食品、衣類、薬品、文学、化学、経済、ホテルに至るまで、外来語、片仮名文字を使ったものが増加の一途をたどっております。特に、外来語の本当の意味を捨て、発音だけを近似的に表現する片仮名外来語が多くなっております。

 外来語は室町時代から使われるようになり、片仮名は平安時代に制定されて以来、外来語は片仮名によって日本化され、外来語として受け入れられる要因となりました。

 また、我が国の近代化を促進するために国際交流が促進され、外来語をどんどん使うようになり、欧米諸国の学術文化を吸収し、追いつき、その結果として近代化が成功したとも言われております。

 さらに、外来片仮名語が日本語として定着したものといたしましては、アイスクリームとか、キャラメルとか、メリヤスとか、カッパ、カステラ、アルコール、レンズなど数多くあります。ここでは省略いたしますけれども、この数は非常に多いのです。

 しかし、今日のように、あらゆる分野に、あらゆる手段、方法で外来語や片仮名文字が使用され、テレビを初め、各種会合のあいさつの中でも外来語が使われるようになってきております。

 また、官公庁、各会社、商社に至るまで、一般大衆が理解できない、映画のフィルムが途中で切れたように、外来語だけ部分的に理解できない、わからない人が多くなってきております。これは、まさに非識字者が増加してきたと言っても過言ではないと考えるわけであります。(笑声)(発言する者あり)

 フランスでは、昭和五十一年一月五日、商品の広告や説明には一切外国語は使わせないという法律を公布いたしております。ただし、どうしても外国語を使うのもやむを得ない場合には、外来語の下にフランス語で表示する、わかりやすく表示するということも義務づけておるわけであります。

 ところで、外来語がはんらんしていることを皮肉った記事がありますので、御紹介いたしましょう。これは非常におもしろく、ユーモラスに書いておりますので、これから二枚の外来語に関するものをちょっと読み上げます。

 これは、労働省の職安が非常に暗いイメージを与えているということで、皆さんが英知を絞ってつくり出した言葉です。聞いてください。

 「はい、ハローワーク平井です」、これはまだいいのです。非常に感じがいい。一瞬戸惑うようなハローワークというのは、ハローというあいさつ言葉に出会いを大切にする職安行政の精神を込めて職安につけられた愛称だが、わびしい、不親切といった職安に対する利用者の先入観がこの愛称でなくなったかどうか。このハローワークという最初の印象は非常にいいけれども、中身は、わびしい、不親切、暗いという感じが全然払われていないということです。

 それからもう一点は、国内最大のウオーターフロント(水際)開発プロジェクト、東京都臨海副都心開発計画、ここに住む居住者像は、ファミリー派、シティーライフ派、アーバンレジデンス派に分類されるわけでございます。

 この審議に当たった委員の一人が、意味がはっきりしないのに業を煮やしまして、都の幹部に「あなたは何派ですか」と質問したところ、不意をつかれて答弁に困って、「自覚しておりません」と。こういう名称を使う限り、部下職員にも、都の職員にも、これは何たるかを理解させるように徹底しなければだめなのです。不意をつかれて聞かれたら、「わからない」「自覚しておりません」なんて、ふざけるなと言うのです。(笑声)どうしてわからない言葉を使うのか、苦言を呈したい、こういうのが一つです。

 もう一通、これまたわからない言葉についてです。「ヨコ文字言葉のはんらん」「わけのわからない片仮名書きのヨコ文字言葉がはんらんしている。その数は減るどころか、ますます増えているように思える。

 いわく、コースタル・コミュニティ・ゾーン、アーバンコンプレックスビルディング、コミュニケーション・プラザ、ボラントピア、ウエル・エイジング・センター、リサイクル・プラザ……。

 説明を聞けば、わからないでもないような気もするが、それにしても、当の説明する側が「舌が回らないネーミングですが……」と(中略)なぜ、こうも好んで使うのだろうか。(中略)テレビのコマーシャルの影響も大きい。日常的に、ますますヨコ文字言葉に無感覚になり、ヨコ文字風の変テコな日本語を書いたり、しゃべったりしている。」と。

 まだいろいろありますけれども、時間の関係もありますので省略いたしますが、こういった皮肉った文章も出ております。

 さて次に、知事の外来文字、片仮名文字の使用状況はどうでしょうか。知事もかなり得意になって使っておりますが、(笑声)私の調べたところによりますと、北海道新長期総合計画における横文字の使用数は合計千百九十三語、(笑声)延べ四千五百四十六回に達しております。これは非常に多いのです。その中には、えたいの知れない、わからない、職員も困っちゃって、辞典を引っ張り出してもまだわからない、(笑声)そういう文字も含まれております。

 次に、歴代知事の執行方針の中で──これは執行方針だけに絞って調べたのです。外来語の数を比較いたしますと、田中知事六十三語、九十二カ所。戦後、外来語をよく覚えたものですね。(笑声)

 それから町村知事、この方は、一期目は一語しか使っていない、一カ所しか。三期目に、やむを得ず、十五語、十七カ所使っております。計十六語です。

 堂垣内知事、一期目、二十九語、四十三カ所、三期目、二十語、百三十八カ所、計四十九語を使っております。

 さて、横路知事、一期目、三十四語、三十七カ所、二期目当初、四十九語、六十八カ所、平成二年、六十九語、九十一カ所、合計百五十二語、百九十六カ所になっております。これは歴代知事の中で極めて多い。三期目にもし当選したら(笑声)──当選しなかったら、これはわかりませんが、もしかしたら、これはもう道政史上の記録に残る、外来語、わからない言葉の乱用者になるわけです。

 私の演説は、居眠りする人はだれもいない。よく聞いてくれる。(笑声)

 これを見ましても、このように歴代知事の特徴があらわれており、その内容を比較してみましても、極力外来語を避けようと思えば、外来文字を使わなくとも成文化できるわけで、問題は、その意識にあると思うのであります。

 知事は、昭和六十年執行方針で言葉の行革を表明しております。

言葉の行革に対する知事の真のねらいは、行政に携わっておる職員が日常何らの抵抗もなく使用している、ごく当たり前の用語、言葉が、行政以外の方々に理解しがたい、わかりづらいとのことを特に強調しておられるのでありますが、それ以外の片仮名用語及び外来語も含めた行革であると考えます。

 そこで、知事の執行方針並びに職員に対する訓示の内容をここで再度申し上げます。

 非常に感激するような立派な文字が多いですね。(笑声)(発言する者あり)まず五十九年、これは当選して感激の時代ですが、(笑声)だからよくわかるのですけれども、五つの目標に向けて、重点施策、「私は、知事就任以来、この北海道を「活力あふれる民主主義の北海道」「表情豊かな強い経済の北海道」「生活者の心が通う温かい北海道」」──これが問題ですね。それから、「「人間らしく生き抜く力をはぐくむ北海道」「地域に根差し世界に開く北海道」」、この五つの道政目標をうたっております。

 この中で、特に「生活者の心が通う温かい北海道」「人間らしく生き抜く力をはぐくむ北海道」、これが、非識字者が存在しておる、日の当たらない非識字者に対する温かい心が通うような道政などということには全然当たらない。そのほかに、六十年の中に、「親しみのある道政を実現するため、わかりやすい言葉、親切な態度で道民の皆さんに接してまいります。」と。そして六十一年、これまた、ここで、「日常の言葉や文章などもわかりやすいものにするため、言葉の行革について努力してまいります。」、ここまでは非常にいいのです。

 さて、知事が五十九年の仕事始めに職員に対して述べた言葉の中に、こういうことが出ております。

   人と人とがお互いに理解し合うのは言葉を通じてであります。道民の皆さんと道庁とが理解し合うのも、また言葉によってだと思います。それにしても、現在の役所言葉は余りにも難しいと思います。皆さんに書いていただいた議会の答弁書、いろいろなあいさつ文などを拝見しますと、やっぱり難しい。

 知事も難しいと認めているのです。

   目で見るとわかっても、話し言葉では理解しがたいのではないかということをたびたび経験いたしました。よく、すぐれた文化を持つ国は言葉を大切にすると言われています。行政に携わっている私どもが、日常的にそれぞれの場でもっと言葉に関心を持たなければならないのではないでしょうか。特別な専門用語は別として、わかりやすく、温かみのあるものにしていきたいものです。そして、言葉の行革を進めるために、言葉に対する関心、あるいは意識を変えることから新年は始めたいと思っております。

 これは非常に熱意と現実を直視した職員に対する言葉でありまして、そのくだりには、「識別する目、勇気ある実行を」と。

   私の好きな言葉、私の心に刻まれた言葉の一つに、アメリカのラインホールド・ニーバーという、プロテスタントの神学者の方の言葉があります。

 知事、今思い出してどうですか。時間がたちますから、これは読むのをやめます。そういうことで、知事の願望が非常に出ております。

 しかし、このような知事の願望と職員に対する願いに対して、その後改善されたでしょうか。私は、一向に改善されていないと思うのであります。道民、議員、職員にも直ちに理解されない横文字や言葉であっては、知事の真意が伝えられないのではないかと思うわけであります。今後一層、原点に立ち返り、言葉の行革を進めなければならないと思います。知事の決意をお伺いするものであります。

 さらに、報道関係者も極力片仮名と外来語は使わないように留意しております。

 先般、毎日新聞記者の御好意によりまして、大阪本社校閲部発行の「ことばんく」の資料を送っていただきました。これは日経新聞の下段の方に小さく出ていたのです。社内で徹底してやろうという、それを見て、北海道支社に話をしたら、そういう記事があったのかということで送っていただきました。その資料を持っております。これは、大阪本社校閲部発行の「ことばんく」の資料にも出ております。

 また、そのほかに、共同通信社発行の「記者ハンドブック 用字用語の正しい知識」の中にも、「外来語は一般に理解されにくいので、やむを得ない場合の外は、その使用を避ける。」ということで、全社員に徹底しております。

 また、テレビでも外来語が非常に多く使われております。テレビ放送について視聴者の感想を聞いてみましたが、教員、会社関係及び一般の七割の方々が理解できないと回答をいたしております。わかるものもあるのですが、しかし、理解されない。フィルムが切れたように中断している。老人クラブのお年寄りにつきましては一〇〇%わからない。だから、ぜひ直してもらうように、平井先生、ひとつ申し入れてください、こういうように依頼されたわけであります。理解できない外来語は使わないよう、各放送局に申し入れていただきたい。

 また、テレビ放送以外の各種商品を初め、さきに述べたように、あらゆる面でどうしても使わざるを得ない場合は、フランスと同様に、その文字の下に日本語で表示するように国に改善方を申し入れていただきたい、知事の所見をお伺いしたいのであります。

 以上が第一回の質問でございます。(拍手)(発言する者あり)○(議長新沼浩君) 知事横路孝弘君。


(知事横路孝弘君)

 (登壇・拍手)(発言する者あり)平井議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、「国際識字年」についてでございますが、文字を読み書きすることは、人々の文化的な生活や地域の発展のために欠くことのできない大切なものでございまして、世界には読み書きのできない人々が数多くいると言われておりますことから、国連が、本年を「国際識字年」として位置づけ、二〇〇〇年までにこのような人をなくすことを目的として、さまざまな行動を展開していることは大変意義のあることだと考えております。

 次に、道民の識字率の実態でございますが、道内にもいろいろな理由から文字を習得する機会が得られないまま社会生活を送らざるを得ない方もおられることとは思いますが、これに関する調査が行われていないことから、その実態を把握することは難しいものと考えております。

 この点について、ユネスコの統計の中では、日常生活の簡単な内容について読み書きできない者として、日本の場合には十五歳以上で未就学の者の割合が用いられております。

 未就学の方が直ちに非識字者であるとは限りませんが、昭和五十五年の国勢調査における北海道の未就学率は〇・五%となっておりますので、本道にも読み書きのできない方がおられるのではないかと推測をされます。

 次に、非識字者の解消についてでございますが、文字の読み書きについては、学校教育に負う部分が多く、これまでも教育分野において対応してきているところでございます。

 御指摘のありましたような、昭和三十年に東北と関東において国が行った調査は、道内では行われておらず、このような方々への対応は必ずしも十分でない面があろうかと思います。

 今後こうした識字の問題について、研究課題として教育委員会とも相談してまいりたいと考えております。

 次に、言葉の行革についてでございますが、私は、行政が日常使っている言葉や文章をできるだけわかりやすいものにいたしたいと考え、言葉の行革を進めてきたところでございます。

 近年、国際化が進み、外来語を使わざるを得ない情勢になってきておりますけれども、しかし、ただいま御指摘がありましたように、道民の方々が理解しがたいような外来語、片仮名文字などは極力避け、道民にわかりやすい用語を使うように今後とも努力してまいりたいと考えております。

 最後に、外来語についてでございますが、近年、テレビや新聞、さらには日常生活において頻繁に外来語が使用されてきており、その中には一般に理解されにくいものも多く見受けられることは御指摘のとおりであると思います。

 しかしながら、一方では、生活の中で外来語や新しい言葉を必要とすることもまた現実でございます。

 このような時代において、公共的な役割を持つ機関が外来語などを用いる場合には、できるだけ一般的でわかりやすい表現となるよう、それぞれの立場で配慮していくことが大切であると思います。

 今後、道といたしましては、御提言のございました説明的な日本語表示を含めまして、道民の皆さんにわかりやすく温かみのある言葉や文章を使用するよう努力してまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)(発言する者あり)


(議長新沼浩君) 教育長寺山敏保君。


(教育長寺山敏保君)

 (登壇・拍手)平井議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、「国際識字年」についての認識でございますが、ユネスコの一九八五年の統計によりますと、世界の十五歳以上の人口のうち、読み書きのできない人、いわゆる非識字者が開発途上国を中心として約八億九千万人にも上っております。

 ユネスコは、その創立以来、識字問題に積極的に取り組み、各国の努力とも相まって、世界の成人の非識字率は、一九五〇年の四四・三%から一九八五年の二七・七%へと大幅に減少いたしております。

 ユネスコでは、非識字者の存在が経済社会的発展と文化的・精神的進歩の過程を著しくおくらせているとの認識に立ちまして、一九八七年第四十二回国連総会において、二〇〇〇年までに世界から読み書きのできない人をなくすことを目標に、一九九〇年を「国際識字年」といたしたものでありまして、まことに意義深い活動であると認識をいたしております。

 次に、道民の識字率についてでございますが、道民の読み書き能力調査は、昭和二十三年のGHQの協力のもとに行われた日本人の読み書き能力調査以後実施されておりませんが、御指摘のように、読み書きのことで日常困難を感じている方々もおられることと存じます。

 また、やむを得ない事情により小学校に在学しなかった、いわゆる未就学者は、そのすべてが非識字者とは限りませんが、十五歳以上の未就学率は、平均いたしますと〇・五%程度と言われております。

 ユネスコでは、識字の定義を日常生活における簡単な文章を理解して読み書きできることとしておりますが、このことに着目いたしますと、本道においても正確な調査結果はございませんが、御指摘のように、識字能力に欠ける人たちもおられるものと考えております。

 次に、道内における非識字者の解消策でございますが、本道における十五歳以上の未就学者は、五十五年の国勢調査によりますと、〇・五%で約二万三千人となっておりますが、このうち、ある程度の方々が非識字者であると推測されます。

 しかし、近年、総体としては、未就学者が減少する傾向にありますことから、道教委といたしましては、今後とも児童生徒の就学促進に努めますとともに、帰国子女などを含め、道民の読み書き能力の向上に努力をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)


(議長新沼浩君) 平井進君。


(四十六番平井進君)

 (登壇・拍手)再質問をいたします。

 「国際識字年」に当たりまして、他府県では既に本年の一月からこの問題に取り組んでおられるわけであります。道では、今回の質問で初めて事の重大性に気づかれ、しかも、本年が「国際識字年」であったと知った職員も多いのであります。(発言する者あり)

 過去の調査でも、明らかに道内に非識字者が存在するにもかかわらず、今日までその対策を講じなかった知事の責任は極めて重大であります。(発言する者あり)

 さらに、先ほども申し上げましたけれども、知事の五つの目標を重点施策としていろいろ述べております。特に、「生活者の心が通う温かい北海道」「人間らしく生き抜く力をはぐくむ北海道」、このような知事の意思、願望にもかかわらず、力強く訴えております「心が通う」「はぐくむ北海道」が空念仏になっていると申し上げたいのであります。しかも、非識字者の実態調査についても極めて消極的であります。

 部下職員との話し合いの中では、基本的人権に問題があるとかプライバシーに問題があるとか、まず、それが先に出てきます。やる気があるのかないのかということを疑問に思います。ですから、一歩も前進しない。戦後四十五年たっても、まだ全然調べてないのですよ、知事。それで温かい血の通った道政と言えるか。(発言する者あり)私は、調べていけばいくほど、非常に疑問に感じているのです。戦後四十五年も経過した今日まで、この識字を高める努力を怠ってきた責任は免れません。もっと積極的な対応が必要と考えております。

 新聞の一部を述べておきます。本年の一月十八日の日経新聞に出ておりますが、もう既に一月十七日に識字問題の中央実行委員会を発足させて、「@国連決議をふまえ政府は非識字者をなくすため十カ年の行動計画を策定せよA視覚障害者の差別につながる「文盲」表現は日本の識字への認識の遅れであるため、基本的人権としての識字の理解を広めるB日本の非識字の実態調査を行い識字活動の関心を高める──とのアピールを採択、総理府、文部、外務省に要請書を出した。」、このように出ているのです。まず、実態を、客体を把握して、何人おるか、どういう年齢層か、そして、それではどう取り組むかということなのです、手順として。それを調査すら渋っているのです、人権にかかわるとかプライバシーにかかわるとか。一体何です、それは。

 北海道が広いから調査ができないのか、おっくうなのか。それなら分県したらどうです、内地府県のように、小さくして。そして、もっときめの細かい道政をやったらどうですか、府県と同じように。当然、そういう分県問題が出てくるのです。(発言する者あり)もっと積極的な対応が必要と考えます。知事に苦言を呈するとともに、この問題に対する今後の決意のほどをお伺いいたしたいと存じます。

 次に、教育長にお尋ねをいたします。

 「国際識字年」の意義ある年に当たって、いわゆる日の当たらないところで劣等感にさいなまれ、孫、子供から、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんは字が読めないと言われ、自分の愚かさを心に刻み、日常生活を送っておられる方々がおるわけです。そういう人に温かい手を差し伸べることが、特に、この意義ある「国際識字年」にふさわしい温かい行政と言えるのではないかと思うわけであります。

 そこで再度お伺いしますが、何らかの方法で実態調査を行い、その実情に即した方法で非識字者の解消のために前向きに対処する考えがあるのかどうか、教育長の御意見を賜りたいと存じます。

 これで再質問は終わります。(拍手)(「よし」と呼ぶ者あり)


(議長新沼浩君) あらかじめ会議時間を延長いたします。 知事。


(議長新沼浩君) 教育長。


(教育長寺山敏保君)

 (登壇・拍手)平井議員の再質問にお答えをいたします。

 非識字者の解消についてでございますが、非識字者の実態調査につきましては、その基準の定め方、また、個々人の事情などもございまして、調査をしても、どの程度正確な御協力が得られるかどうかなど、その実施の面でいろいろ難しい点が想定をされます。

 現実には、御家族や近隣の友人などの御協力によりまして日常生活が送られていることと存じますが、文字の読み書きの力を高めることは、その方々が文化的な生活を送るため大切なことでございますので、道教委といたしましては、文部省が「国際識字年」に当たり調査研究事業として本年度実施いたします識字教育指導者研究協議会に参加をするなどいたしまして、識字教育の課題に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)


(議長新沼浩君) 平井進君。


(四十六番平井進君)

 (登壇・拍手)再々質問をいたします。

 今までの第一回の質問、再質問に対する教育長の答弁を聞いておりますと、道教委の取り組みが極めて消極的であると申し上げるわけであります。このことを強く指摘しておきます。

 先ほども申し上げましたけれども、他都府県では本年一月から各地で講演会やパネル展などを積極的に開催しているわけであります。この機会に申し上げましょう。

 都道府県の動向。

 大阪府の施策。

 国際識字年推進大阪連絡会に対する補助。

 補助対象団体は夜間中学、識字学級も含めています。もちろん、在日韓国・朝鮮人団体等九団体にも助成しております。

 補助額は六百万円。総事業費は、大阪市からの四百万円を合わせて一千万円の事業でやっておる。

 どういうことをやっているかというと、記念パネル展、これは五月二十三日から二十八日まで、三越大阪店。識字学級生の経験交流会、識字文庫の発刊など七件の行事を既に行っております。

 二つ目は、国際識字年記念講演会も既に開催している。

 大阪府、同じく府教育委員会、大阪市、同市教委、人権啓発推進協議会等六団体。

 これは六月二十八日にもう既にやっているのです。

 それから、識字十か年計画の策定。

 大阪府及び同府教育委員会。

 策定時期、平成二年度中。

 内容は、西暦二〇〇〇年(平成十二年度)までに識字社会を達成するために行政指針というものをつくる。

 さらに、神奈川県です。

 かながわ識字プロジェクト実行委員会に対し助成をする。

 実施主体は上記実行委員会。

 負担額二千万円。

 実施時期、識字デー(九月八日)を中心に数日間。

 事業内容、これは実行委員会で実施するのですが、国際シンポジウム、フェスティバル(映画会、パネル展)、講演会など。

 その他の府県の状況はどうかということになりますと、大阪府(府教育委員会社会教育課)及び神奈川県(国際交流課)からの情報によると、次の府県においても識字デーなどを中心に関係事業の実施が計画されている。長野県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県。

 市町村の動向。

 識字関係の写真パネル、ビデオフィルム等の貸し出しを行っておるユネスコ協会からの情報によると、これらの貸し出しの申し込みをしている数多い市町村での行事内容及び実施時期は次のとおりである。

 実施済み市町村、横須賀市、シンポジウム、三月中旬。

 今後の実施予定、堺市(大阪府)、桑名市(三重県)、岸和田市(大阪府)、豊中市(大阪府)で展示会、これはいずれも八月、九月にそれぞれ開催を計画しております。

 これは時間がなかったものですから、各府県のものを全部調べていませんけれども、調べますと、それぞれ識字問題に真剣に取り組んでいるのです。北海道がいかに無意識で、いかにおくれているか。もう半年過ぎたのですよ。これは知事も教育長もよく聞いてください。それで教育振興でありますとか、今述べたような知事の施策、これは空念仏だと私は言っているのです。どうですか。これは余り言い過ぎかな。(笑声)(発言する者あり)

 今申し上げましたように、他府県ではこのように既に真剣に取り組んできている。本道においては、もう六カ月経過したのですが、この段階で初めて「国際識字年」の重要性を認識しているという姿勢に対して私は強く反省を求めるものであります。このことについて教育長の見解をお伺いしたい。やる気があったのか、なかったのか、わからなかったのか、これからどう急いで取り組むのか、その所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)(発言する者あり)


(議長新沼浩君) 教育長。


(教育長寺山敏保君)

 (登壇・拍手)平井議員の再々質問にお答えいたします。

 「国際識字年」の取り組みに対する道教委の姿勢でございますが、識字についての具体的な取り組みにつきましては、ただいまの平井議員の御指摘を踏まえまして、識字問題に意欲的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。

 以上であります。(拍手)


(議長新沼浩君) お諮りいたします。

 本日の会議は、この程度にとどめ延会いたしたいと思います。

 これに御異議ありませんか。

 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


(議長新沼浩君) 御異議なしと認めます。

 よって、本日は、これをもって延会することに決定いたしました。

 七月十二日の議事日程は、当日御通知いたします。

 本日は、これをもって延会いたします。

 午後五時七分延会

   議長 新沼 浩

   議員 土田 弘

   議員 長沢 徹

   議員 西本美嗣