平成19 年第2 回定例会

札幌市議会会議録(第3号)

平成19年(2007年)6月13日(水曜日)


議長(畑瀬幸二) これより、会議を再開します。

代表質問を続行します。

小倉菜穂子議員。

(小倉菜穂子議員登壇・拍手)

小倉菜穂子議員 私は、市民ネットワーク北海道を代表し、本定例会に提案されました諸議案並びに市政の諸課題について質問いたします。


最後は、夜間中学についてです。

戦争や病気、家庭の事情などの理由で、小学校や中学校の義務教育の機会を得られなかった人たちの数は、北海道では10万人以上、全国では160万人以上であることが2000年の国勢調査で推定されています。全国夜間中学校研究会によると、学齢期を過ぎた義務教育未修了者を対象に、義務教育を保障する公立夜間中学校夜間学級、いわゆる夜間中学は、2007年3月現在、東京、大阪など8都府県に35校あり、約2,500人の生徒が在籍していますが、義務教育未修了者が大阪に次いで2番目に多い北海道には1校もありません。

昨年8月、日本弁護士連合会は、義務教育未修了者について、憲法第26条で定める教育を受ける権利や、教育基本法第3条の教育の機会均等を侵害されているとして、文部科学省に対して、未修了者の実態調査や、地域の実情に合わせた夜間中学の設置を市町村及び都道府県に指導すること、自主夜間中学への施設の提供、財政支援などを求める意見書を提出しました。日弁連は、この中で、現在の国の施策は不十分であり、夜間中学は何物にもかえがたい権利の回復のための学びの場になっていると指摘しています。

市民ネットワークは、これまで、子どもが一人の人間として尊重され、安心して自分らしく生きることができる社会を目指して子どもの権利条例の制定を働きかけてきました。その基本にあるのは、憲法でうたわれている基本的人権が尊重されることであり、どの世代であっても学ぶ権利が保障されるべきと考えます。

そこで、質問です。

夜間中学は、法令上の学校教育法施行令第25条第5号を根拠として、市町村教育委員会の裁量により2部授業を実施するかどうかについて決定できる仕組みとなっています。義務教育の機会を奪われてきた人たちは、生活上、職業上のさまざまな困難を抱えて暮らしてきました。これまで十分に保障されてこなかった教育を受ける権利を回復する夜間中学を、市長はどのように認識されているのか、お伺いします。

2点目は、札幌遠友塾自主夜間中学への支援についてです。

1990年4月、ボランティアの人たちが運営する札幌遠友塾自主夜間中学が札幌市内に設立され、札幌市民会館などの会議室を借りて授業を続け、この17年間で258名の卒業生を送り出してきました。札幌市以外の旭川、釧路、函館など遠くから通ってくる生徒もおり、義務教育の機会を得られなかった人たちが広範囲にわたっています。また、近年、不登校の子どもたちや中国からの帰国者などの申し込みがふえており、学ぶ機会を保障する自主夜間中学が果たす役割は大きいものがあります。

そこで、質問です。

現在使用している公共施設では、年々ふえる入学希望者の受け入れ場所の確保が困難な状況です。また、定期的な運営や教材の管理、保管などの問題の解決のためには、教育環境の整っている施設が早急に求められています。学びたい人たちが学ぶ場を保障され、学ぶことが生きる喜びになるためにも、札幌市の公立学校の余裕教室等の使用や財政的な支援を進めるべきと考えますがいかがか、お伺いします。

以上で、すべての質問を終了いたします。ご静聴いただきまして、本当にありがとうございます。(拍手)


議長(畑瀬幸二) 田中副市長。

副市長(田中賢龍) 私から、夜間中学についてのご質問のうち、1点目の夜間中学をどのように認識しているかについてお答えいたします。

公立中学校夜間学級は、戦後の混乱期に義務教育を修了しないまま修学年限を超過された方々に教育の機会を提供することを目的として、昭和20年代初頭、中学校に付設されたことからスタートし、ピークとなる昭和29年には全国で87校に及び、多くの方々に学びの場を提供してきたと聞いております。

こうした歴史的経緯を考えますと、公立中学校夜間学級の果たしてきた役割は極めて重い意味を持っているものと考えており、今日、8都府県35校に設置されております夜間学級におきましても、設置当初の対象者に加えまして、入国者、帰国者主体の青少年など、さまざまな理由から義務教育を修了できなかった方々に学ぶ機会を提供する貴重な役割の一端を担っているものと考えております。

こうした観点からも、これまでさまざまな困難を抱えながら、学ぶ意欲を強く持ち続けてこられた方々の思いを大切に受けとめ、教育委員会とも支援のあり方について考えてまいります。

以上でございます。


議長(畑瀬幸二) 松平教育長。

教育長(松平英明) 私から、夜間中学についてのご質問のうち、2点目の自主夜間中学を運営する団体に対する支援につきましてお答えを申し上げます。

札幌遠友塾自主夜間中学につきましては、過去に十分に学ぶ機会がなかった人たちなどに学びの場を提供するという目的で活動している団体であると認識しておりまして、これまでも、使用する施設のあっせんや、その使用料の減免などの支援をしてきたところでございます。

教育委員会といたしましても、学ぶ意欲を強く持ち続けてこられた方々の思いを大切に考えておりまして、引き続き、団体と協議しながら、学校施設の使用も含め、具体的にどのような支援が可能か、検討してまいりたいと考えているところでございます。

以上でございます。