北海道教育委員会と話し合いをしました。
2008年4月16日午前10時30分〜12時20分
道庁別館 8階
道教委側出席者
曽我部 主幹 北海道教育庁生涯学習部 学校教育局義務教育課支援グループ
前田 主幹 北海道教育庁生涯学習推進局生涯学習課 推進グループリーダー
佐々木 主査 北海道教育庁生涯学習推進局 生涯学習課 推進グループ
花田 主査 北海道教育庁学校教育局 義務教育課支援グループ
当会事務局出席者
工藤共同代表、清水事務局長、泉、白倉、境、溝口
4月15日、曽我部主幹宛にファックスにて提示した「検討内容要旨」に従って進めるということで合意し話し合いに入りました。
(1)公立夜間中学設置について
設置主体と認可
市町村が公立夜間中学の設置申請する場合は?
道立夜間中学設置の可能性は?
あくまで中学校の設置主体は市町村であり北海道ではない。
道は設置申請を受ける立場であり設置申請をする立場にはない。
市町村からの設置申請に応じて指導助言と協力をするのが道の立場。
中学校の設立は市町村に限られるので道立中学校の設立は法的(教育法38条)に無理と考えている。
受講対象者の資格
尋常小学校卒業者や高等小学校中退の場合は?
義務教育開始年齢の規定はあるが中学進級の年齢制限はないので設置者(市町村)または学校長の判断で受け入れることになる。
札幌市以外から通学する場合は?
義務教育は保護者のところから通うことを前提としているので、他地区からの通学に関する規定は無い。
東京など公立夜間中学ではどういう根拠でどういう援助をしているのか調査し、結果を公開する。地行法上の支出ではなく区などの特別な予算措置と思われる。
中国残留孤児および家族に対する場合は?
設置者(市町村)の判断如何によるだろう。
就学免除や猶予者の場合は?
学力が伴わない形式卒業者(不登校や養護学校、遠距離、貧しさ)の場合は?
就学免除者や猶予者が再度修学を求めることは想定外。
形式卒業者といえども義務教育修了者なので受け入れは難しいと思う。
義務教育としてではなく生涯学習として対応すべきと考えている。
フリースクール等への出席を所属中学校への出席日数にカウントするという措置もとられている。(フリースクール、自主夜間中学も公教育へ集約するための傍流との位置づけか?)
就学援助
(交通費)申請の場合、実施するのは居住市町村か札幌市か?
この問題の調整機関はどこか?
市町村をまたがる通学定期の発行は?
通学に介護が必要な場合には?
義務教育では他地区からの通学は想定されていないので、分からない。
通学時の介護は特別支援(道立)にはあるが、それ以外ではない。
66年に夜間中学の早期廃止勧告が出されているが、夜間中学設置に消極的なこととは関係がない。
(2)自主夜間中学について
教室確保について、要望(先)が道立の学校や施設である場合の考えは?(例えば週に一回夜二時間、定時制高校などの一つの教室使用は可能か?)
上記の場合、教室使用料の減免または全額援助の考え方は?
自主夜間中学に就学援助(遠距離通学交通費)は認められるか?
教室を貸すかどうかは学校長の判断による。
直接学校長に要望しても道教委としては妨げるものではない。
教室を使うのであれば水道光熱費等の経費はかかるが教室使用料はかからない。
教室以外を使う場合、義務教育としての減免措置等は無理であるが、社会教育の一環としてであれば可能だろう。
話し合いを終えて
公立夜間中学の設置に向けて行政が動いているとは言えない段階では運営上で起こる個々の問題を真剣に検討する共通の基盤そのものがないと感じました。設置するとの決定がない以上、行政としては個々の問題をクリアーする必要も残念ながら感じていないと思われました。
話し合い開始早々、曽我部主幹は「夜間中学とは中学の夜間学級であること」と「遠友塾の週一回の授業では中学卒業資格の要件を満たす事は難しいこと」を強調していました。公立夜間中学の設置要望を自主夜間中学の公立化の要望と誤解していると感じられました。
近年、夜間中学のことがマスコミで取り上げられ、議会でも取り上げられるので道教委としても対応に迫られていることは認識しているが、基本的には設置者たる市町村の問題と考えている。
道教委は設置者たる市町村へ指導助言する立場と考え、指導助言もあくまで法律に規定されている範囲を越えるべきではないと考えている。
従って、道教委としては教育関係の法律で規定されている範囲でのみ対応すると考え、「法律で禁止されていないことは出来る」と、私たちが考え、期待するような思考方法をとろうとはしていない。この点がもっとも齟齬のあるところで若干やりとりがヒートアップした。
就学免除も猶予も形式卒業の問題も行政の温情措置だと考えて疑っていない。従って、そうした人たちが今「学びたい」と考えていることに教育行政が応えるべきだとまでは考えない。
「とりつく島もない」対応ではなかったのですが、トップの決定がなければ役人は動かないと感じました。
文責:溝口