自主夜間中学「札幌遠友塾」 夢かなった「教室」は向陵中10/16 14:46



向陵中の教室を使った遠友塾の初めての授業。生徒の中には生まれて初めて学校の机に座る人もいた=7月30日

 さまざまな理由で学齢期に学校に行けなかった人が通う自主夜間中学「札幌遠友塾」が来春以降、市立向陵中(中央区北四西二八)で継続的に教室を利用し、授業を行うことができる見通しとなった。長年の夢がかなうことに、関係者は感慨深げだ。

 遠友塾は現在、十−八十代の約九十人が国語、数学、英語、社会の四教科を学んでいる。講師は教員退職者や大学生などで、皆ボランティアだ。

 一九九〇年から市民会館を「教室」として使ってきたが、同館の解体に伴い、昨年四月から市教育文化会館の会議室で、毎週水曜日の午後六時十五分から授業を行っている。

 だが、年間使用料が五十五万円かかる上、教材の保管場所も十分になく、催しのため会場変更を余儀なくされることもある。このため、交通の便が良い、市内中心部にある学校の教室提供を市に求めていた。

 今夏には市教委の提案を受け、地下鉄東西線西28丁目駅に隣接した向陵中で二回、中央区の資生館小で一回、試行的に授業を実施。「ぜひ学校の教室で勉強したい」という声が生徒やスタッフの間で高まっていた。

 今後は遠友塾、向陵中、市教委の三者で調整を進め、本格的な運用を目指す。

 遠友塾の工藤慶一代表は「生徒たちに、学校の教室で安心して学んでほしい。また、今回の教室利用の実現がきっかけとなり、全道でも夜間中学設置の動きが広まってほしい」と期待している。(本庄彩芳)


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/123675.html