札幌・自主夜間中学 学びやに別れ 感慨ひとしお 校舎で初の卒業式 (03/18 14:15)
工藤代表から卒業証書を渡され、拍手を受ける遠友塾の卒業生
戦争などの事情で学齢期に学校に通えなかった人のための自主夜間中学「札幌遠友塾」(工藤慶一代表)が17日、中央区の市立向陵中学校で18回目の卒業式を開いた。昨年度までは札幌教育文化会館などを教室とし、向陵中での授業は本年度から。学校での卒業式は初めてで、生徒たちの感慨もひとしおだ。
遠友塾では3年間かけ国語、数学、英語、社会の授業を行う。基礎から学ぶ「じっくりクラス」もある。会社員や元教員らボランティアが講師を務める。
今回の卒業生は21〜77歳の男女15人。卒業生は向陵中格技室で工藤代表から証書を受け取り、1、2年生と再受講の3年生にも修了証書が手渡された。
卒業生は証書を受けると、一人ずつあいさつ。終戦時に旧満州(現中国東北地方)で親とともに抑留され、中学に通えなかった森一生さん(77)は「楽しく学べ感謝でいっぱい。もう少し勉強を重ね、有朋高校に進みたい」。
終戦後、石狩市(旧厚田村)の家の農作業などを手伝ったため、小学校高学年から学校に行けなかった中矢真弓さん(74)は「感激で言葉が出ません。今までありがとうございます」と涙で詰まりながら謝辞を述べた。
遠友塾は27日まで新年度入学生を募集する。入学式は4月21日、授業は同28日から。毎週水曜午後6時10分から8時40分まで毎回2教科を学ぶ。授業料は月千円。
申し込みはスタッフの井上大樹さん(電)632・9777(ファクス兼用)へ。
北海道新聞(川原田浩康)