11月2日(金)午後6時より、札幌市教育委員会学校教育部教育推進課、村岡章吾就学指導係長、森岡毅指導担当係長と公立夜間中学校夜間学級の設置について交渉を行っております。
なお、民主党幹事長との話し合いは、市議会閉会が遅れたため、5日(月)に延期になっております。
「北海道に夜間中学をつくる会」からは、工藤共同代表、清水事務局長ほか泉、飯塚、工藤(朱)、境、丸山の7人が出席しました。
工藤代表はまず、市教委が問題とする公立夜間中学入学の希望者が実際どれくらいいるのか不明であるとする点について質しました。
「学齢期を超えて」や「義務教育を実質的に受けられていない人たち」のとらえ方、広域入学を認めるのか、昔の尋常小卒業者を中学卒とみなすのかなど、市教委の考えによって、希望者数が違ってくるのでは、と質しました。
村岡係長は、
札幌市長に提出された要望書を受けて公立夜間中学についての検討を始め、他都市の事例について研究を始めた段階である。
しかし、札幌市として、義務教育を実質的に受けられていない人たちを調べるため、アンケートなどの調査は考えていない。
また、現時点の考えとして市立である以上、あくまで受入対象は札幌市の行政範囲であり広域的な受入は考えていない、との初歩的な見解を示しました。
道内のセンター校としての公立夜間中学の設置は、地方公共団体条例によって決められており、道内の事情については道行政の範囲ではないか、とも答えられました。
これに対して、工藤代表らは,
東京都では区を越えて入学している実例や他府県から受け入れている実例を紹介。
実際、遠友塾でも函館や苫小牧、余市などから通学しており、公立夜間中学が出来れば、札幌市以外からの入学希望者は出てくるだろう。
村岡係長は、
本年5月に要望を受けてゼロから始めているので、他都市の事例や背景を調べるため、時間がほしい。
さらに、広域性の問題についても、道と具体的に細かな打ち合わせを行い、どこまで認めてくれるか、交渉していきたいと答えました。
工藤代表は、
戦前や戦争中は農作業などで実際学校に行けず卒業証書だけもらった人も多いこと。
現在でも「証書だけ」の人がおり、社会へ出て改めて学びたいと思っても学びの場がない現状を訴えました。
こうした人たちについても、本人が入学を希望するなら受け入れも検討してほしい、と伝えました。
また、就学援助の問題で、JRや地下鉄など通学定期が認められるのかどうか?
実際、遠友塾では車いすの人もおり、冬場は大変であり、通うための援助はあるのか?
寝たきりや引きこもりの人でも、家で勉強したい希望があるので、訪問教育はできないか?などを質しました。
村岡係長は、
通学定期については、公立夜間中学の場合、学校の証明があれば可能ではないかとし、調査を約束。
車いすや寝たきりの人などについても、介護が絡むが教育制度で支援することができるか調べを進める、との返事がありました。
公立夜間中学への入学希望者がどれくらいいるかについては、
「つくる会」として、国勢調査に中学卒業者を調べる項目を、市として総務省に要望するよう促しました。
来春、公立夜間中学を開設する和歌山市は2クラス40名で計画を進めているが、その根拠は「識字学級」(自主夜間中学)を対象に調査を行った結果である、と説明しました。
そのため、遠友塾卒業者や受講生を対象にした調査なら可能であり、札幌市に協力することを惜しまない。
しかし、なにより、入学希望者の把握は、遠友塾のこれまでの受講生や、来年の希望者など、毎年増え続けており、中国帰国者などの受け入れ、その人たちに、札幌市は行政としてどう応えて行くか考えるべきではないか、などを説明しました。
また、「つくる会」からの要望に、道教委は委員会を公開し見解を示している。札幌市教委としても、委員会審議などを公開にし、われわれの要望に対する問題点など見解表明を透明性を確保してもらいたい旨、要請しております。
5項目の要望、公立夜間中学をめぐる問題を解決していくことは、生涯学習部や総務部など行政のさまざまな境界を越え問題であり、道および市町村、多岐の部署が連携する必要性があることは認識において一致しました。
村岡係長は、
7指定都市から聞き取り調査を進めているが、まだきちんとできていない。
それらの調査結果をみながら皆さんと話を進めて行きたいと述べました。
工藤代表は最後に、道や市、議会ほか様々な団体に協力を要請してきたこと、今後、 経済界や教育界へ働きかけて行く考えを示し、市教委とも折に触れて話し合いを持ちたい旨を伝えました。
さらに、受講生の真剣な学びの姿を見てもらい、夜間中学の実態を知る上でも、市教委担当者たちの遠友塾参観を要請しました。
今交渉で泉さんは、制度的かつ法的しばりから、夜間中学設置の困難性を問題とするのではなく、学ぶ人の立場から考えて行政が対策を講ずる必要性を述べております。
飯塚さんは、要望書の提出のさい、上田市長は「夜間中学のあるべき姿」を検討していきたいと回答されたこと。その回答に基づく、札幌市の「あるべき姿」を独自の行政措置として描いてもらいたいと述べました。
清水事務局長も、札幌独自のスタイルを作り全国発信するくらいの気持ちで、この問題を解決してほしいと訴えました。