162回国会 衆議院予算委員会第四分科会 第1


1号 平成17225日(金曜日)  (2005年2月25日)

会議録本文へ

本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      渡海紀三朗君    萩野 浩基君

      福田 康夫君    佐々木秀典君

      津川 祥吾君    中井  洽君

二月二十四日

 渡海紀三朗君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 渡海紀三朗君

      谷川 弥一君    萩野 浩基君

      大畠 章宏君    岸本  健君

      佐々木秀典君    津川 祥吾君

      中井  洽君    中山 義活君

      三日月大造君    渡辺  周君

   兼務 坂本 哲志君 兼務 島田  久君

   兼務 中根 康浩君 兼務 吉田  治君

   兼務 太田 昭宏君 兼務 吉井 英勝君

    …………………………………

   文部科学大臣       中山 成彬君

   総務副大臣        今井  宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            上原美都男君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          倉吉  敬君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      萩原 久和君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            坂田 東一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  福田 康夫君     谷川 弥一君

  津川 祥吾君     大畠 章宏君

  中井  洽君     岸本  健君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 弥一君     菅原 一秀君

  大畠 章宏君     中山 義活君

  岸本  健君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     萩生田光一君

  中山 義活君     渡辺  周君

  三日月大造君     中井  洽君

同日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     福田 康夫君

  渡辺  周君     津川 祥吾君

同日

 第一分科員吉田治君、第二分科員坂本哲志君、第三分科員島田久君、太田昭宏、第六分科員中根康浩君及び第八分科員吉井英勝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


     ――――◇―――――


○太田分科員

 まさに国と地方の役割分担という中で、国が国民の安全というものについて、各県においていろいろ緊迫性が違うわけだから、そういうことも含めてやるということをしっかり認識して、そして、財務省、総務省、政府自体がしっかりとこの問題に取り組むように、私は強く要請しておきます。

 それから、夜間中学校の問題について質問しますが、小学校、中学校を卒業していない義務教育未修了者のために、また、在日外国人の日本語教育のために、夜間中学校が果たしてきた役割は非常に大きいと思います。

 夜間中学校は、戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった人を初めとして、いじめの被害者、不登校ということも最近はあるし、登校拒否の生徒に普通教育を提供するという役割も果たしているというふうに思います。さらに、韓国や中国からの引き揚げ家族の日本語教育や、また、今日では、ブラジルやフィリピン、ベトナム、タイ、アフガニスタンなどから来た外国人の日本語教育の場ともなっているわけです。

 そこで、まず、そうした認識について、共通した認識を持っているかどうかという一点についてお伺いをするとともに、義務教育未修了者の人数が、現場の夜間中学校の担当者の声を聞きますと、十分把握されていない。国勢調査の教育の項目の調査区分を改善する必要がある。

 この義務教育未修了者の人数は一体どれだけあるのか。そして、国勢調査での調査項目が小学校と中学校という区分ではないということもありまして、その辺の実態把握の状況等についてお聞きをしたいと思います。


○銭谷政府参考人

 まず、義務教育未修了者の実態でございますけれども、学校教育法により九年間の義務教育を受けるべき者のうち、義務教育を修了していない者の数を正確に把握するということはなかなか難しい面がございます。

 今先生お話ございましたけれども、平成十二年の国勢調査によれば、約十五万九千人が義務教育未修了となっております。ただし、これには、病弱等の事由によりまして、就学義務の猶予、免除を受けた者が相当数含まれております。

 いずれにいたしましても、戦前戦後の混乱期における義務教育未修了者数の把握がなかなか難しいこと、就学義務猶予免除者のうち、最終的に義務教育未修了者の数の把握が大変難しいといったようなことがございまして、正確な把握はなかなか困難であるということをお答えさせていただきたく存じます。

 なお、夜間中学につきましては、先生の方からお話がございましたけれども、夜間中学は、学校教育法施行令の第二十五条第五号に規定をいたします中学校の二部授業の一形態として行われております。現在、全国で三十五校ございまして、学んでいる生徒の数は二千六百九十名でございます。

 その生徒さんを年齢別に見ますと、いわゆる学齢者、義務教育段階の人はおりませんで、すべて十五歳以上の方ということになっております。それから、外国人の方、つまり日本国籍を持っていない方も全体の七五%という状況でございます。


○太田分科員

 変な話なんだけれども、この国勢調査で十五万九千という数が出てくるわけですが、これは、十五歳以上の人の中で小学校に全く行ったことがない人、及び小学校を途中退学した人しか含まれていない。小学校卒業者及び中学校中途退学者は、中学校卒業者とともに小学校・中学校卒業者に含まれている。こういうことで、小学校と中学校の国勢調査における区分分けというようなことを検討したらどうかということを言いたいわけですが、いかがですか。


○銭谷政府参考人

 私ども、義務教育未修了者ということで数を今把握しているわけでございますけれども、大変難しいのは、結局、小学校を終えていない、あるいは中学校を終えていないという場合に、その人たちの事情が非常にさまざまございますことと、先ほど申し上げましたように、就学義務の猶予免除を受けた方ですとか終戦時の混乱期の方とかいろいろおりまして、いわゆる数の正確な把握というのが大変困難だということで、現在まで、こういった形で、義務教育未修了者はある種推定的なことしかお答えできない状況にございます。


○太田分科員

 ぜひとも国勢調査の検討課題として研究してもらいたいと思います。

 それから、義務教育未修了者をなくす問題を文部科学省の重要な課題の一つとして位置づけるということをまずお願いしたい。

 それから、夜間中学校の役割を正当に評価する。最低、全都道府県及び全政令指定都市に一校は夜間中学校を設置する等の方向を打ち出すということが必要だというふうに思います。特に、不登校とかドロップアウトした人たち、それから五十歳、六十歳、中学校を出ていなくて、年齢になっている人、それから外国人、いろいろなケースがあって、非常に涙ぐましい努力をしながら教育をしている現状というものをよく、これはまさに現場の状況を把握して、財政論の中で教員を減らすというようなことのないように、ここはひとつ、大事な社会の安定基盤をつくるということにもなると僕は思います。その辺の措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○銭谷政府参考人

 先生御案内のように、夜間中学は、戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由によりまして昼に就労等を余儀なくされた学齢生徒が多くいたということから、これらの生徒に義務教育の機会を提供することを目的として昭和二十年代初頭から開設されてきたものでございます。その後、昭和三十年代の初頭には数としてはピークを迎えまして、全国で八十校を超えた時期もございました。ただ、その後、社会状況の変化に伴いまして、昭和四十五年には二十校まで減少し、現在は少し増加をして、先ほど申し上げましたように、全国で三十五校ということになっております。基本的には、それぞれの地域におきまして、その地域の状況に応じて各市町村においてその設置を判断すべきものというふうに私どもとしては考えているわけでございます。

 ただ、文部科学省としても、中学校の夜間学級、夜間中学につきましては、例えば教員の給与費の国庫負担を行うとか、あるいは夜間中学校における学習指導や生徒指導の改善充実を図るために、夜間学級を設置する中学校に対しまして調査研究事業を委嘱したり、全国の夜間中学校の方に集まっていただいて、研究協議の場を設けたりして、支援は行っているところでございます。

 ただ、ただいま申し上げましたように、最終的にはやはり、いろいろ地域の実情がございますので、各市町村においてその設置については判断されるべきものと考えております。


○太田分科員

 今銭谷局長おっしゃったように、その追い風を国が送るということが大事で、まさに義務教育の国庫負担にもかかわることなんですが、国が風を起こして追い風を送るということなしに、地域ということで、独自性と言うかもしれないけれども、逆に言うと、現場対応型に終わるというような教育であってはならないので、私は、国における義務教育ということに対する追い風をしっかり送る体制をつくっていただきたいというふうに思っております。

 同時に、最近は、外国の人たちに対して日本語の教育を施すというようなことが非常に大事な問題になっているわけですよ。浜松とか私の生まれ育った豊橋とかいうところではブラジルの方を初めいろいろな方が多いわけですが、そうした都市の調査に、浜松なんかでも外国人の子供のうち二七・一%が未就学というようなこともあったりします。そういう点では、この日本語学級を法的に位置づけるということが非常に大事なことだというふうに私は思います。

 日本には二百万人以上の外国人が居住している、子供さんも多数居住をしているというところで、いろいろな労働形態もあるでしょう、あるいは留学に匹敵するというようなこともあるでしょう。これからの日本ということを考えると、そこでの日本語学級、そして日本の中に定着していただくというようなことも含めて、そうしたことの働きというものが私は極めて重要であろうというふうに思いまして、夜間中学校の日本語学級についても、その法的な位置づけということを含めて政府としてやっていただきたいということを強く要望します。


○中山国務大臣

 御指摘のように、まず夜間中学校、いろいろな事情があって学校に行けなかった方、そういった方々も勉強したいという意欲があればぜひ勉強できるような体制は国が率先してつくるべきだ、こういうふうに考えているところでございます。また、いわゆる在日外国人の方々が安定した日常生活を送るためにはどうしても日本語が大事でございますから、その日本語を学ぶために国としてもいろいろなことを考えていかないかぬ、こう思っているわけでございます。

 現在の夜間中学校におきます国語教育というのは、そういう意味では、在日しておられる外国人に対する日本語教育として意義のあるものと考えますけれども、夜間中学校というのは日本語教育を専門とする教育施設とはちょっと異なりますので、これを専ら在日外国人に日本語教育の場として提供するということはなかなか難しいかと思うわけでございます。

 学校教育以外の日本語教育支援につきましては、例えば地域のボランティア財団の協力を得ながら、学校の施設、余裕教室、こういったものを活用して親子の日本語教室を地域の要望等を踏まえて開設したり、あるいはまた、国立国語研究所では日本語教育支援総合ネットワークシステムというのを構築いたしまして、インターネットを通じて日本語教育の教材などに関する情報を関係者に提供するなどして、地域社会での在日外国人に対する日本語教育の充実に努めているところでございますが、これからどんどん在日外国人の子弟もふえてまいりますから、この人たちに対しての教育、国語教育を含めてどうやっていくかということは大きな課題として考えなければならない、こう考えております。


○太田分科員

 ぜひとも、現場で涙ぐましく努力をしている先生方もいらっしゃるし、大臣あるいは副大臣、せっかく総務副大臣も来ていらっしゃいますから、政府の関係の方が現場を見ていろいろな現場の声を聞いていただくようにお願いしたい、こんなふうに思います。一言。


○中山国務大臣

 まさにおっしゃるとおりでございまして、私ども、まず現場を見てみようということで、現場主義で今文部科学省やっているわけでございますが、関係省庁とも一緒になりまして、まず、在日外国人の方々がどういう状況にあるんだ、そういったことの実態を見るために、できるだけ早く現場に赴きたい、こう考えております。


○今井副大臣

 私も、文部省の方々と一緒に総務省としても現場を拝見させていただきたい、こういうふうに思っています。

○太田分科員 終わります。ありがとうございました。

○渡海主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。