平成19年決算特別委員会第2分科会


平成19年 決算特別委員会

                会議録 第5号

北海道議会  第2分科会

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平成191113日(火曜日)

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出席委員

 委員長

  小畑保則君

 副委員長

  池田隆一君


  堀井 学君

  石塚正寛君

  戸田芳美君

  大河昭彦君

  高橋 亨君

  長尾信秀君

  柿木克弘君

  加藤礼一君

  池本柳次君

  三井あき子君

  船橋利実君

  川尻秀之君

  神戸典臣君

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出席説明員

   教育長       吉田洋一君

   教育次長      平山和則君

   教育次長      白髭俊穂君

   兼教育職員監

   総務政策局長    倉島 宏君

   学校教育局長    穂積邦彦君

   生涯学習推進局長  塚崎和義君

   教育職員局長    巻渕雄二君

   新しい高校づくり  岸  豊君

   推進室長

   総務課長      戸沢孝一君

   教育政策課長    金光謙一郎君

   教職員課長     秋山雅行君

   教職員課参事    後藤 潮君

   高校教育課長    辻 敏裕君

   義務教育課長    菅沼 肇君

   学校安全・健康課長 佐藤憲次君

   学校安全・健康課  杉本昭則君

   参事

   生涯学習課長    宮内敏文君

   文化・スポーツ課長 小笠原久美子君

   教育職員局参事   伊藤文明君

   新しい高校づくり  村上英治君

   推進室参事

   同         黒田信彦君

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議会事務局職員出席者

   議事課主幹     高間 亨君

   議事課主査     金子征史君

   同         宮岡孝博君

   同         辻 堅也君

   同         数藤磯次君

   同         山田 真君

   同         我妻博彦君

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  午前10時3分開議


(戸田芳美委員) 

 それでは、二つ目の内容に入らせていただきます。

 不登校・中途退学者対策等についてでございます。

 まず、これらの子供たちの本道における近年の推移についてはどのようになっているのか、お伺いいたします。


(杉本学校安全・健康課参事) 

 本道の不登校及び中途退学の状況等についてでありますが、国が実施した、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における、平成18年度の本道の公立小中学校の不登校児童生徒数は4099人で、前年度の3824人に比べ275人の増となっており、平成13年度をピークに、平成17年度まで減少傾向にあったものが増加に転じております。

 また、本調査における公立高等学校の中途退学者数は、平成18年度分はまだ公表されておりませんことから、平成17年度の本道の状況について申し上げますと、2604人で、在籍比は2.1%となっており、過去数年、減少傾向が続いているところであります。


(戸田芳美委員) 

 中途退学の状況ということで、3000人近くの方が中途退学をされている。多いと見るか、少ないと見るかということでございますが、やはり、その数字をしっかり受けとめて、それにしっかり対応していくということが大事なことではないかなと、こんなふうに思います。

 先日、札幌の遠友塾という自主夜間中学を視察してまいりました。そこで学ぶ人たちは、病気や不登校など、何らかの理由で学校で学べなかった人たちであると伺ってきました。

 実際に義務教育において卒業認定されていない人の数はどのくらいになるのか、お伺いいたします。


(小畑保則委員長) 義務教育課長菅沼肇君。


(菅沼義務教育課長) 

 義務教育における卒業未認定者の数についてでございますが、市町村の区域内にある学齢児童の就学につきましては、当該市町村の権限において行われておりますことから、これまで適切に就学事務がなされてきたものと認識しており、道教委としては、卒業認定がなされていない者の実際の数は把握はしておりませんが、平成12年度において実施されました国勢調査では、道内に居住する15歳以上の者で、小学校に在籍したことのない人または小学校を中途退学した人は9600人となっております。

 なお、平成16年度から18年度における卒業未認定者の数につきまして、教育局を通じ、すべての市町村教育委員会から聞き取りを行いました結果、卒業未認定者はいないという状況でございました。


(戸田芳美委員) 

 義務教育ということで、学齢期に達したということで、現在ではほぼ卒業を認めているということだそうでございますが、過去というか、遠友塾に視察に行ったときに多かったのは、60歳を超えていて、戦争ということで、中には、卒業はしたという方もおりましたけれども、卒業したかがわからない状況の中で、勉強をしたという覚えがない、そういう人たちが向学心を燃やして、改めて基礎的な勉強をしたいというようなことで通っておりました。

 そして、旭川でも、このような機会として、NPO法人のようなものが立ち上がって、できるというふうにも聞いております。

 夜間中学については、基本的には、地方自治体、つまり市町村が一義的に対処するというか、そういうことになりますので、道としては、さまざまな相談、援助というか、そういう面でぜひ協力を惜しまないでいただければなと、こんなふうに思っております。

 道教委では、不登校や中途退学等の子供たちからの悩みの相談窓口等を設けられ、対応に当たっておりますが、これらの相談件数及び相談内容等の実態についてお伺いをいたします。


(杉本学校安全・健康課参事) 

 教育相談についてでありますが、道教委におきましては、道立教育研究所や各教育局に、電話等による相談窓口を設けております。

 平成18年度における児童生徒や保護者などからの電話による相談件数は、小学生にかかわるものが913件、中学生にかかわるものが853件、高校生にかかわるものが635件であり、そのうち、不登校にかかわる内容は150件、進路にかかわる内容が92件となっております。


(戸田芳美委員) 

 近年、国を挙げて、再チャレンジが指摘されております。高校生の中には、一度、学校教育から離れたものの、再度、試験を受けて学校に入学するケース、あるいは技術を習得するために専門学校などに進学するケースなど、さまざまなケースがあると考えられますが、これらの実態についてどのように把握されておりますでしょうか。


(杉本学校安全・健康課参事) 

 公立高等学校の中途退学者の状況についてでありますが、平成17年度に中途退学した生徒の2604人のうち、進路変更を理由とした者が1042人となっており、そのうち、別の高校への入学を希望した者は161人で、進路変更を理由とした中途退学者に占める割合は15.5%であり、専修・各種学校への入学を希望した者は37人で、その割合は3.6%、就職を希望した者は660人で、その割合は63.3%、高卒程度認定試験受験を希望した者は58人で、その割合は5.6%などとなっております。


(戸田芳美委員) 

 中途退学等をした場合に、それぞれさまざまなその後の進路ということが考えられるわけでございますが、やはり大事なことは、一度、ドロップアウトというか、そういうことをした人たちが再びさまざまな進路を選択して挑戦できるというか、そういう仕組みをしっかり築いていくということが大事なことではないかなと、こんなふうに思っております。

 道教委では、高校における中途退学の問題に対してどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

 また、国においては、再チャレンジのための総合支援事業に取り組んでおりますが、道教委では、社会に出て再チャレンジを希望する方への支援についてどのような取り組みを展開しているのか、お伺いいたします。


(小畑保則委員長) 教育次長平山和則君。


(平山教育次長) 

 各高等学校におきましては、個に応じた学習指導や教育相談などを通じまして中途退学の未然防止に努めてきており、道教委におきましても、本年度から、国の調査研究事業を活用いたしまして、学ぶことや高校卒業の意義などについて生徒に対し面談や講演等を行うスクールライフアドバイザーを配置するなどして、中途退学の未然防止に向けた取り組みを行っているところでございます。

 こうした中で、生徒が中途退学をする場合には、就職や他の学校への入学などにつきまして、生徒個々の状況に応じた指導を行いますとともに、中途退学後におきましても、在籍時の担任や進路指導部などが窓口となり、ハローワークとの連携を図るなどいたしまして、親身に進路相談などに努めているところでございます。

 また、道教委では、今年度から、国の再チャレンジ支援の事業を活用いたしまして、道、経済関係団体、大学、民間企業などを構成員とする協議会を組織いたしまして、若年無業者や青年、さらには女性などが就業等に必要な知識や技術を得ることができるよう、相談窓口を設置することや、ビジネスマナーやパソコンに関する資格取得を目指す3カ月程度の講座を初め、一定の期間のもとで各種講座を開催し、就職や企業に再チャレンジを希望する方々への支援を行うこととしており、今後とも、学校や関係機関などを通じ幅広く周知を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。


(戸田芳美委員) 

 日本は、どっちかというと、エスカレーターにだあっと乗って、大量消費、大量生産ということになりますが、高度経済成長の中では、高学歴を身につけさせるといいところに就職できるというようなことで、そういう方向を目指して、親も子供を一生懸命励ましてというか、取り組んできたというようなことでございますが、今の社会状況の中では、初めにお話を伺いましたが、教育格差という中には、やはり経済格差というのも大きな影響を与えているのではないかなというふうに思います。

 きのうの道新に、「全国調査で学力と相関関係」という記事が出ておりました。この記事の中では、北教組は、経済格差が根本だと、そんなような主張をされております。朝食を食べてくる子供の割合と学力がどんな関係になっているか、こういうようなことが出ております。学力の高い子供たちの多くは、朝食を食べてきているという状況にあるわけでございます。

 この教育格差を生み出す要因というのがさまざまな形で考えられますが、経済格差も大きな要因の一つであろう、こんなふうに思います。

 そこで、このような教育格差について研究をされております苅谷教授がこんなことを言われております。

 一生懸命頑張っている学校を支援するために、経済的に不利な子供が多い学校に、人的、財政的な支援をふやすなど、地域の実情に応じた教育を可能にするための基盤整備が必要だ、こんなような主張をされております。

 また、一つには、経済格差だけではないということの研究報告もされております。教師の評価と中学生の学力の関連性という論文もございます。

 端的に言いますと、教師の評価、つまり子供たちに対する評価が大きな影響を与えるということだそうでございます。

 卑近な例で言いますと、おまえはばかだ、ばかだ、ばかだ、こういうふうに言われて育った場合はそういうふうになってしまう。逆に、褒めて、いいところを伸ばして、認めて、そして頑張ると、そういう子供も伸びてくる。これは実際に低学力の地域をデータで調べた研究成果でもございます。

 ですから、親の経済的なことも大きな影響がありますけれども、加えて、教師の子供を見る見方、まなざしといいましょうか、そういうものも大きいのではないかなというふうに思っております。

 それから、後半で質疑をさせていただきました、不登校、中途退学に対する対応策についてでございますが、不登校児童生徒の対策という形で、このような例もありますので、紹介をさせていただきます。

 一つは、先ほども話の中にありました不登校児童生徒の公的支援施設の適応指導教室、これが全国の自治体で設置されております。

 そういう中で、奈良県大和郡山市の「ASU」というところは、小規模指導の形態を保ちながら、学校並みの学習指導内容で、内申書を独自に書ける権限も与えられていて、全国的にも前例のない試みでございますが、開設3年で30人近くが高校進学を果たすなど、着実な成果を上げているということなのです。多くの市教委は、学校を中心に学習指導を行っているわけでございます。ここは、学校ではない適応指導教室で、独自に高校進学にかかわる内申書が書ける権限も市教委では与えているということだそうでございます。

 それからもう一つの例は、松江市が校外学習を出席扱いにしているということでございます。

 不登校、つまり学校になかなか行けない、そういうような子供たちの自宅を訪問して──その前にちゃんと計画をつくって、学習計画も含めて、そこに行って指導したり相談に乗ったり、そういうことに取り組んでいるわけでございます。

 こちらも学習支援を受けた日を小中学校の指導要録上の出席扱いというような形で対応しているそうでございます。

 ですから、義務教育においては、出席日数というのが大きな位置を占める形になりますが、自治体がさまざまな形でやっているということも御理解いただいて、道としてもさまざまな形で支援ができるようお願いしたい、こういうふうに思います。

 それから、不登校対策の一つに、スクールカウンセラーの派遣ということもございますが、社会福祉士も派遣するというか、相談に乗るというような事例もございます。さまざまな専門家のアドバイスを受けるということも大事なことだと思います。

 最後になりますが、9日の道新に教育長の記事が出ておりまして、最後にこのようなメッセージを出されております。

 「先日、小樽水産高校の実習船の出発を見送り、胸が熱くなりました。道教委の教員はペーパーテストの成績順で採用するわけではなく、面接などで教育への志とエネルギーを重視します。専門知識や経験を生かしてもらうため、教員免許を持たない人の採用も本年度から枠を拡大しました。情熱のある若者に、教育という素晴らしいプロジェクトにぜひ参加してほしい」と。

 教員を志望する数が少なくなっていく中で、教育長はこのようなメッセージを掲げて、北海道の教育を担う人材について、ぜひ教育にチャレンジしてほしいというようなことも掲げてございます。そのような取り組みをさらに教育委員会としてぜひ進めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

 以上です。