第一七一回

参第四号


学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案

(教育環境整備法案)


(目的)


第一条 この法律は、学校教育の環境の整備に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の職務を明らかにするとともに、学校教育環境整備指針等を策定し、学校教育に関連する予算の確保及び充実の目標を定めること等を通じてその着実な達成を図ることにより、学校教育の環境の整備を推進し、もって教育の振興に資することを目的とする。


(定義)


第二条 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。


 この法律において「教育振興基本計画」とは、教育基本法(平成十八年法律第百二十六条)第十七条第一項又は第二項の計画をいう。


(学校教育の環境の整備の基本方針)


第三条 学校教育の環境の整備は、すべての者が、学校に在学する幼児、生徒及び学生(第八号においては「児童生徒等」という。)としてその発達段階及びそれぞれの状況に応じた適切かつ最善な環境で学校教育を受けることができるよう、次に掲げる事項を確保することを旨として、行わなけれぱならない。



  1. 多様な教育の機会を提供すること。

  2. よりきめ紬かな教育指導を実現するための諸条件を整傭すること。

  3. 安全かつ快適な学校教育を実現するための諸条件を整備すること。

  4. 安全かつ容易な通学のための諸条件を整備すること。

  5. 心身の健康、進学、職業選択等に関する相談体制を充実させること。

  6. 情報化、国際化等社会の変化に対応した教育を充実させること。

  7. 学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること。

  8. 障がいを有する児童生徒等については、共に学ぶ機会の確保に配慮しつつ、その特別な状況に応じた教育を充実させること


(国の責務)


第四条 国は、前条に定める学校教育の環境の整備の基本方針(次条において「基本方針」という。)に基づき、学校教育の環境の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。


(地方公共団体の責務)


第五条 地方公共団体は、基本方針に基づき、学校教育の環境の整備に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び'実施する責務を有する。


(学校教育環境整備指針)


第六条 政府は、教育振興基本計画の一部として、学校教育環境整備指針(以下「整備方針」という。)を定めなけれぱならない。


 整備指針においては、次に掲げる項目のうち学校の種類ごとに必要なものに関わる目標水準、その達成の目標年次その他必要な事項を定めるものとする。


  1. 教職員の配置及び数並びに教員の有する免許状の種類ごとの比率

  2. 学級編成

  3. 学校の施設及び設備

  4. 前三号に掲げるもののほか、学校教育の環苧着の整備に関わる項目であつて重要なもの


 政府は、教育を取り巻く状況の変化を勘案し、少なくとも五年ごとに、整備指針の見直しを行うものとする。


(整備計画)


第七条 地方公共団体は、教育振興基本計画を定めると一きは、その一部として、整備指針を参酌し、前条二項各号に掲げる項目のうち当該地方団体が設置する学校の種類ごとに必要なものに係わる目標水準、その達成の目標年次その他学校教育の環境の整備を推進するため必要な事項を内容とする計画(次条第四項において「整備計画」という。)を定めるよう努めなけれぱならない。


(学校教育に関連する予算の確保及び充実の目標等)


第八条 政府は、整備指針の達成に資するため、教育振興基本計画において、学校教育に関連する国及び地方公共団体の予算の確保及び充実の目標を定めなけれぱならない。


 前項の目標は、学校教育に関連する国及び地方公共団体の財政支出の国内総生産に対する比率を目標として定めるものとする。


 政府は、第一項の目標を踏まえ、整備指針を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなけれぱならない。


 整備計画を定めた地方公共団体は、整備計画を達成するため、自らも必要な財源を確保する等必要な措置を講ずるよう努めなけれぱならない。


附則

この法律は、公布の日から施行する。