平成20年第1回定例会
第1回北海道議会定例会会議録
第8号
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平成20年3月13日(木曜日)
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議事日程 第8号
3月13日午前10時開議
日程第1、議案第1号ないし第95号、第98号ないし第109号及び
報告第1号(質疑並びに一般質問)
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●本日の会議に付した案件
1.日程第1
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出席議員(104人)
議長 106番 釣部 勲君
副議長 89番 鰹谷 忠君
1番 八田盛茂君
2番 包國嘉介君
3番 市橋修治君
4番 稲村久男君
5番 梶谷大志君
6番 河合清秀君
7番 北原秀一郎君
8番 佐々木俊雄君
9番 高木宏壽君
10番 道見重信君
11番 冨原 亮君
12番 堀井 学君
13番 松浦宗信君
14番 東 国幹君
15番 石塚正寛君
16番 内海英コ君
17番 大崎誠子君
18番 小野寺 秀君
19番 小畑保則君
20番 角谷隆司君
21番 北口雄幸君
22番 小林郁子君
23番 田島央一君
24番 中山智康君
25番 橋本豊行君
26番 広田まゆみ君
27番 道下大樹君
28番 戸田芳美君
29番 大河昭彦君
30番 真下紀子君
31番 織田展嘉君
32番 横山信一君
33番 池田隆一君
34番 勝部賢志君
35番 北 準一君
36番 小谷毎彦君
37番 須田靖子君
38番 高橋 亨君
39番 田村龍治君
40番 長尾信秀君
41番 福原賢孝君
42番 小松 茂君
44番 千葉英守君
45番 中司哲雄君
46番 中村裕之君
47番 藤沢澄雄君
48番 村田憲俊君
49番 山本雅紀君
50番 吉田正人君
51番 米田忠彦君
52番 岩本剛人君
53番 蝦名大也君
54番 遠藤 連君
55番 大谷 亨君
56番 柿木克弘君
57番 布川義治君
58番 加藤礼一君
59番 喜多龍一君
60番 工藤敏郎君
61番 竹内英順君
62番 原田 裕君
63番 池本柳次君
64番 蝦名清悦君
65番 岡田 篤君
66番 岡田俊之君
67番 沖田龍児君
68番 木村峰行君
69番 日下太朗君
70番 斉藤 博君
71番 佐々木恵美子君
72番 佐野法充君
73番 三井あき子君
74番 稲津 久君
75番 森 成之君
76番 金岩武吉君
77番 久保雅司君
78番 花岡ユリ子君
79番 荒島 仁君
80番 佐藤英道君
81番 沢岡信広君
82番 滝口信喜君
83番 林 大記君
84番 星野高志君
85番 三津丈夫君
86番 伊藤政信君
87番 段坂繁美君
88番 平出陽子君
90番 船橋利実君
91番 本間 勲君
92番 丸岩公充君
93番 見延順章君
94番 石井孝一君
95番 板谷 實君
96番 伊藤条一君
97番 加藤唯勝君
98番 川尻秀之君
99番 川村 正君
100番 清水誠一君
101番 神戸典臣君
102番 高橋文明君
103番 和田敬友君
104番 勝木省三君
欠席議員(1人)
105番 岩本 允君
欠員(1人)
43番
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出席説明員
知事 高橋はるみ君
副知事 山本邦彦君
同 嵐田 昇君
同 近藤光雄君
総務部長 宮地 毅君
企画振興部長 佐藤俊夫君
環境生活部長 高井 修君
保健福祉部長 高橋教一君
経済部長 渡辺 健君
経済部参事監 成田一憲君
農政部長 西山泰正君
財政局長 高橋幸雄君
財政課長 岡崎一智君
秘書課長 山本広海君
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教育長 吉田洋一君
教育次長 平山和則君
教育次長 白髭俊穂君
兼教育職員監
総務課長 戸沢孝一君
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警察本部長 高橋清孝君
総務部長 明星 清君
警備部長 松本裕之君
総務部参事官 長澤 毅君
兼総務課長
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議会事務局職員出席者
事務局長 中島 昇君
議事課長 大崎政仁君
議事課主幹 大橋恵治君
速記室主幹 山崎恵喜君
議事課主査 本間 治君
速記室主査 棚橋千賀子君
同 戸塚久美子君
同 村上清晴君
議事課主任 松井直樹君
同 松村伸彦君
速記室主任 八巻恵子君
速記士 高井京太君
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午前10時2分開議
◆(34番勝部賢志君)
(登壇・拍手)(発言する者あり)おはようございます。(「おはようございます」と呼ぶ者あり)
通告に従いまして、以下、質問をしてまいります。
まず初めに、財政再建と地域経済の立て直しについて伺います。
この間、道が進めてきた財政再建は、歳出削減一辺倒のやり方で、聖域なき財政再建とばかりに各種予算を大幅に削減し、さらに道職員の人件費も削減してきました。
しかし、これらのことが、結局は地域経済に大きな打撃を与え、予想していた税収は得られず、結果として、道財政を立て直すこともできていないのが現状です。地域の経済や雇用は依然として厳しく、働けど楽にならない状況に、道民は悲鳴を上げています。
北海道にとって、財政再建は確かに極めて重要な課題です。しかし、地域の経済や道民の生活を守れないのでは、何のための財政再建か、このままでは北海道が本当にだめになってしまうのではないかと、強い危機感を持つものであります。
そこでまず、端的に伺いますが、北海道経済は、全国の状況と比べ相当にひどい状態にありますが、そのことに対する知事の認識と、その原因がどこにあり、あるべき姿をどう考えているのか、伺います。
その上で、削減ありきの道財政の中で、知事の目指す経済活性化や雇用の拡大に本当にしっかりと取り組んでいけるのか、以下、具体的に伺ってまいります。
知事が進めてきたこの間の財政再建は、みずからも認めておられるように、計画に甘さがあり、破綻したと言わざるを得ません。
率直にお聞きしますが、この間の取り組みによって、北海道の財政状況はそれ以前と比べてよくなったのでしょうか。北海道が赤字再建団体に転落する危険性は当時と比べて低くなったのか、それとも、高くなったのか、その理由もあわせて伺います。
知事は、みずからが2年限りと明言した人件費の削減、そして、公共事業費の削減を、多くの反対を押し切って実施しようとしています。
この行財政改革をそのとおり実施すれば、公共事業費の削減によって、4年間で1万7000人分の雇用が減少すると試算されています。国の公共事業の削減でも1万6000人分の雇用が減少すると言われており、人件費の削減と合わせると、地域の経済、雇用に与える影響は甚大なものになります。
知事は、4年間で10万人の雇用を創出するとしておりますが、市町村財政や民間景気が落ち込む中で、果たしてそのようなことが可能なのか、大変危惧するところであります。今回の行財政改革が北海道経済に与える影響をしっかりと把握しなければなりません。どのように分析しているのか、また、税収がどの程度減ると予想しているのか、伺います。
今回の行財政改革案では、5兆6000億円に膨れ上がった道債残高を7年間で5兆円に減らす計画になっています。
確かに、借金を減らすことに、だれも文句は言えません。しかし、我慢をしても、その先に確かな北海道を描くことができないから、頑張ろうという元気もわいてこないのです。
なぜ6000億円なのか。借金を減らす余裕があるのなら、地域経済の活性化に回してほしいという願いは、地域であえぐ人たちの切実な声なのです。地域の経済が立ち直ることが、ひいては、北海道の財政にも少なからずよい影響を与えます。
そう考えると、仮に急激に道債残高の額を減らすことができなくても、当面の景気浮揚策や、道民一人一人の生活を支える施策に振りかえることも必要と考えますが、知事の見解を伺います。
次に、地域における若年者の雇用対策について伺います。
地域経済の状況と同様に、雇用もまた大変厳しい状況にあります。働きたくても働けない、働いても、いつリストラに遭うかわからないといった状態にあり、働く場所があったとしても、低賃金、長時間労働と、働く環境が極めて悪化しています。働けど働けど生活は楽にならず、ワーキングプアという言葉がすっかり定着してしまいました。
こうした働くことや生活に対する不安が、実は子供たちや若者にも広がっており、将来に対する夢や希望が持てず、しっかりとした職業観を形成させることができないという深刻な課題が持ち上がっています。そして、このような状況では、結婚して子供を産むこともできず、少子化にますます拍車がかかっているのが現状です。
このような意味でも、若年者の雇用対策は、北海道の未来のために、極めて緊急かつ重要な課題です。
そこでまず、北海道における完全失業率や求人倍率など、雇用状況を示す数値はどのように推移してきたのか、また、雇用の現状を知事はどのように認識されているのか、伺います。
このような景気低迷、道予算削減の中で、雇用創出基本計画によると、4年間で10万人の雇用を創出するという目標を立てておられますが、本当に実効あるものとなるのか、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
本道の高校生を対象にした調査によると、高校を卒業して働く人たちの中で、卒業したら地元で働きたいと思っている人が9割以上いることがわかりました。
しかし、現実には、地域に雇用の枠がなく、それこそ、働きたくても働く場所がありません。地域間格差が拡大し、地域が疲弊していっているときに、未来を担う若者が地域で働きたいと思っていることは、せめてもの明るい光です。知事として、何としてもこの思いにこたえるべきです。そのことが地域の新たな元気を生み出すことにつながります。
道として、地域における若年者の雇用環境をどのように改善しようとしているのか、その具体策を伺います。
企業は、従業員を正規雇用からパートやアルバイトに切りかえ、大幅な就業形態の転換が行われました。また、賃金も低く抑えられ、働いても生活していけない人たちが多く生まれています。
年功序列型賃金体系や終身雇用制度は、いっとき批判もされましたが、日本の経済成長を支えてきたことは、間違いのない事実です。将来の生活設計がしっかりと立てられ、若いうちは少々つらくても、頑張ればいつかは報われるというのが、実は大きな励みでもあったのです。そして、その安心感が経済活動にも影響し、しっかり稼いで、お金も使うという流れをつくり出したのです。
しかし、今はその雇用形態がすっかり崩壊しつつあります。このことが、若者の仕事に対する考え方や働く意欲に大きな影響を与えているのです。
これら雇用形態や賃金の問題について知事はどのようにお考えか、各企業任せではなく、道としても何らかの対策が必要と考えますが、見解を伺います。
昨年、ミートホープや石屋製菓の食品偽装事件が発覚しました。内部告発が発覚のきっかけとなりましたが、そのような企業のコンプライアンスに向けた取り組みは、企業の発展や業績の向上のみならず、健全な職場をつくる上で大変重要なことです。
近年、労働組合の組織率が低下している現状もあるようですが、その意味では、労働組合が果たしてきた役割、果たすべき役割もまた、極めて大きいと考えます。
経営者はもちろんのこと、従業員に対しても、いわゆる労働教育を推進していくことが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
また、中学校や高校での職業観の育成とあわせて、いわゆる労働教育を推進していくことが必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
次に、これからの本道教育のあり方について教育長に伺います。
文部科学省は、2月15日、小中学校の学習指導要領改訂案を公表しました。いわゆる、ゆとり教育が学力を低下させたとして、学力向上を強く意識した内容になっており、授業時間を1割ふやし、10年前に削られた算数、理科の学習内容をほぼ完全に復活させました。
一方で、生きる力を身につけさせるためにと導入された総合学習は、その成果や問題点の検証もなく、あっさりと削られてしまいました。
近年、教育の方向性がぐらぐらと揺れ動いていることに戸惑いや問題を感じているのは私だけではないと思います。日本の学校教育はこのままでいいのかという批判の声が高まっているのは事実です。
国際的な学力調査でも、以前のような輝かしい成績をとることはできなくなりました。2006年に実施されたOECD学習到達度調査では、日本は、読解力、数学や科学などで、それぞれ順位を下げました。また、いじめや不登校などで苦しんでいる子供も、依然として少なくありません。
今の子供や若者は、生活する上で大切なことを知らず、知性的、理性的な部分に欠け、規範意識が乏しく、感情に流された行動や判断をしがちになっていると指摘する声もあり、我慢強くなく、一般的にひ弱であると分析する人もいます。何とかしなければならないという思いは、国民の多くの人に共通の思いだと思います。
しかし、このままではという思いが高じて、性急に改革や転換だけを求めることは、これからの本道教育の方向を誤ることにもなりかねません。
そこでまず、これまでの考え方や取り組みがどうであったのか、その成果や課題を明らかにする必要があります。
そもそも、この間進めてきた学校5日制の改革は、知識偏重の詰め込み教育がもたらしたさまざまな問題点の反省から、ゆとりの中で生きる力を身につけさせる学力観の大きな転換であったはずです。この考え方は、これからも基本にすべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。
本道における今年度の教育行政執行方針でも、学力の向上を基本姿勢の第1に挙げています。まさに、国も道も、学力向上の大合唱となっていますが、教育長は、今、本道の子供たちに向上させなければならないとする学力とはどのような力だとお考えか、見解を伺います。
ゆとり教育が緩みを生み、学力が低下したと言われています。したがって、授業時間をふやし、習得する知識の量をふやすことが必要で、さらに、足りないところは宿題を出し、補習や土曜日の授業を復活させて補うという考えも出され、中には、校内に民間の夜間塾を設置するところまで出てくる始末です。
先ほど申し上げましたように、このままではいけない、何とかしなければという焦りや、成果がなかなかあらわれてこないことに業を煮やして、このような動きが出てきているように思えてなりません。
大事なことは、知識を詰め込み、子供たちを追い込むことではなく、いかに子供たちに学ぶ喜びを味わわせ、みずから学習に取り組む意欲を引き出すかということではないでしょうか。
一人一人の状況に合わせた、じっくりとした教育活動が求められると思うのですが、このような流れを教育長はどのように受けとめておられるのか、見解を伺います。
本道教育のこれからのあり方を考えるに当たって、例えば、OECDの調査で世界1位と評されたフィンランドがどのような教育を進めてきたのか──お国柄が違いますから、すべて同じ条件で受けとめることはできませんが、フィンランドの学校現場で実際に行われている事実をしっかりとらえ、参考にできることがないか、検証してみることも必要ではないでしょうか。
実態をどのように把握されているのか、また、どのようなことが本道教育にも生かせるとお考えか、見解を伺います。
次に、教員の多忙化の解消と行き届いた学習の保障について伺います。
文部科学省が、一昨年、40年ぶりに実施した勤務実態調査によると、月平均で残業が34時間に達し、家に仕事を持ち帰る場合も多く、ますます実態は悪化していることが明らかとなりました。
また、心を病む教員もふえており、昨年度一年間、全国で4675人もの教員が精神疾患を理由に休職したということであります。その背景には、やはり、業務の多忙さとあわせて、孤立感を深めている教員が多くいることをうかがわせます。
指導技術を磨き、教材研究を積み、心豊かに、子供とじっくり向き合って教育活動を展開するためには、教職員の多忙化の解消は喫緊の課題だと考えます。本道における多忙化の実態をどのように把握されているのか、また、多忙化解消のための具体的な方策を伺います。
多忙化などの影響もあり、同僚に悩みを打ち明けたり、先輩からアドバイスを聞いたりすることもできず、指導などに悩む教員の孤立化が大きな課題となっています。支え合う職場づくりに、道教委として何ができるのか、どのように取り組むのか、伺います。
学校現場におけるさまざまな指導や保護者などとの対応にかかわって、指導力や対応能力の向上が求められておりますが、ともすれば、教員研修の強化、指導力不足教員の認定、教員の免許更新制度、また、極端に言えば、処分などによる懲戒と、教員の側だけの問題として語られてきました。もちろん、親や子供との信頼関係の構築や、指導技術、生徒理解の手法の習得などは、教員みずからの不断の努力が必要であることは言うまでもありません。
しかし、近年、教員の側だけの努力ではどうにもならない問題も発生してきていると聞いております。余りにも無理難題を学校や担任に押しつけてくる保護者、いわゆるモンスターペアレントと言われる保護者の行動が教師にとって大きな負担や圧力となり、教育自体を危うくしているということも聞いています。
そのような実態をどのように把握しているのか、また、学校だけでは手に負えないケースもあると聞いていますが、学校をしっかりと支える体制をつくることが必要と考えますが、見解を伺います。
フィンランドの教育の特徴の一つは、子供12人につき1人の教員がいるという徹底した少人数学級が実現されていることと、教師の地位や身分がしっかりと保障されていることだと聞いています。その意味では、日本でも大幅な教員増が図られ、少人数学級を実現させる必要があります。
2008年度の国の予算案では非常勤講師の増員を計画しています。非常勤講師は、今後の継続性や職場における業務の分担などで課題を残しますが、北海道にはどの程度配置され、どのように活用しようとしているのか、伺います。
最後に、重症心身障害児・者の就学猶予・免除の問題について伺います。
我が国の学校教育法は、小中学校に加え、都道府県に対し、盲・聾・養護学校の小学部、中学部の設置義務を規定しています。
しかし、実際に養護学校の義務制が施行されたのは昭和54年になってからで、それ以前に学齢期を過ぎてしまった人たちの中で、特に重症の心身障害児・者は、当時、教育委員会からの誘導によって、親からの願い出に基づく就学猶予ないし免除の措置がとられており、これによって、それ以来、義務教育を受ける機会がないままになっている人たちがいます。
学齢期の障害によって就学が猶予、免除されても、それが子供の学習権の喪失を意味するものでないことは言うまでもありません。
近年、病気や戦争など、さまざまな理由で義務教育を受けることができなかった人たちから、公立夜間中学校の設置要望など、教育の機会を求める声が高まっています。こうした中、障害を理由として、就学を猶予、免除され、義務教育を受けることができなかった重症心身障害児・者の特別支援学校への就学を求める声もまた大きくなってきており、高齢化も進んでいることから、道としても早急な取り組みが必要と考えます。
そこで、まず伺いますが、道では、重症心身障害児・者の中で、中学部を卒業したが、高等部での訪問教育の制度がなかったため、進学できなかった人たちに対し、どのように対応されているのか、伺います。
当時、就学猶予・免除を受けた児童は、高等部の教育はおろか、義務教育すら受けていないのです。そのような方は、現在、45歳くらいから55歳くらいまでに集中していると思われますが、いずれにしても、どんどん高齢化が進んでいきます。
教育を受けたいというその人たちの願いを何とかかなえてあげられるよう、早急な取り組みが必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
○(議長釣部勲君) 知事高橋はるみ君。
◎(知事高橋はるみ君)
(登壇)勝部議員の質問にお答えをいたします。
最初に、財政再建と地域経済の立て直しに関し、まず、本道経済の現状と、あるべき姿についてでありますが、本道経済は、設備投資は増加しているものの、企業の生産はおおむね横ばい、個人消費と雇用情勢はやや弱目の動きとなっているなど、緩やかな拡大基調にある全国の状況と比べ、依然、厳しい状況が続いていると認識をいたしております。
これは、公共事業など公的需要への依存度が高い経済構造となっていること、また、全国的な景気回復の牽引役となってきた自動車やデジタル家電など、製造業のウエートが低いことなどに起因するものと認識をいたしております。
こうした状況のもとで、本道が将来にわたり活力ある地域として発展していくためには、経済波及効果の高い物づくり産業の集積促進や、IT、バイオといった新しい産業の創出、本道が比較優位にある食や観光のブランド化など、力強い産業構造への転換に向けた取り組みによる民間主導の自立型経済構造の実現が何より重要と考えております。
次に、地域経済などへの影響についてでありますが、このたびお示しをした新しい収支対策を実施することによって、公共事業の縮減など、直接的あるいは間接的に建設業の経営や就業面に及ぼす影響を初め、地域や本道全体の経済産業などへの影響は避けられないものと考えております。
また、道職員給与の独自縮減措置に伴い、市町村や公的団体などの職員の給与に影響することも考えられ、これらの影響を具体的に試算することは難しいものと考えております。
しかしながら、当面の赤字再建団体への転落を回避するためには、このたびお示しをした現時点における新たな収支対策を講じなければならない道財政の収支見通しにある中で、私といたしましては、こうした影響を少しでも緩和できるよう、地域経済の活性化に向けた地域経済活性化ビジョンの策定や建設業の支援策を講じるなどして、地域経済の活力を維持向上させる取り組みを全庁挙げて総合的に推進してまいりたいと考えております。
次に、今後の施策展開についてでありますが、道財政の構造的な収支不足の大きな要因となっている道債償還費の縮減は、持続可能な行財政構造を確立するための取り組むべき大きな課題の一つであり、平成20年度予算をもとに新たな収支対策を講じることを前提とした道財政の中長期収支試算をお示ししたところであります。
現時点においては、こうした新たな収支対策を講じても、なお収支不足額が生じるという極めて厳しい見通しにありますことから、私といたしましては、行財政改革の加速化に努めると同時に、活力にあふれ、安心して暮らせる北海道づくりを着実に進めていくことが大切と認識しており、限られた資源を有効に活用した、めり張りのある政策展開により、各地域の個性や特色を生かした産業振興や医療体制の確保、福祉、子育て環境の充実などに努めてまいる考えであります。
なお、道財政の立て直しなどについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
次に、若年者の雇用対策に関し、まず、地域における雇用の確保等についてでありますが、道といたしましては、産業振興条例に基づく支援や中小企業応援ファンドなどにより、食品加工業などの企業立地と地場企業の取引参入の促進、地域資源を生かした新事業の創出などの取り組みを支援するほか、地域における雇用増を伴う事業展開などを支援する新一村一雇用おこし事業を実施するなどして、雇用機会の拡大に取り組んでまいる考えであります。
また、就業促進対策として、フリーター等に対する職業カウンセリングや就業体験の実施など、ジョブカフェ事業を推進するとともに、学校や地域の企業、関係機関と連携しながら、地域を支える産業等に対する理解増進や、産業界で必要とされる知識、技能の習得への支援、インターンシップを含む、学校におけるキャリア教育の充実などに取り組んでまいります。
道といたしましては、道内就職志向が強い若年者が、安定した職業につき、本道の将来を担う職業人として活躍できるよう、こうした施策の効果的な推進に努め、雇用情勢の改善につなげてまいる考えであります。
最後に、雇用形態などについてでありますが、企業間競争の激化や就業意識が多様化している中で、非正規労働者が増加しているところでありますが、道といたしましては、基本的には、安定した雇用形態が望ましいと考えております。
国におきましても、平成20年度において、有期契約労働者の雇用管理の改善を図るためのガイドラインの策定や、正社員に転換する奨励金が新設されるほか、本年4月に施行される改正パートタイム労働法では、正社員と同視すべきパート労働者の待遇を差別的に取り扱うことが禁止されるとともに、正社員との均衡のとれた処遇や正社員への転換を推進するための措置を講じるよう規定されたところであります。
道におきましても、平成20年度から始まる次期雇用創出基本計画において、非正規労働への対応などを含めた就業環境の整備を位置づけ、重点的に取り組むことといたしており、今後とも、国などと連携を図りながら、労働関係法令や各種支援制度の普及啓発などの取り組みを積極的に推進してまいる考えであります。
なお、本道の雇用情勢などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
以上であります。
○(議長釣部勲君) 総務部長宮地毅君。
◎(総務部長宮地毅君)
(登壇)道財政の立て直しなどについてでありますが、多額な収支不足額が見込まれ、赤字再建団体転落が現実的となりましたことから、平成16年8月に道財政立て直しプランを策定し、平成19年度までの3カ年間を集中対策期間として取り組むこととしたところでありますが、平成17年度予算を編成した結果、歳入では一般財源が減少する一方、歳出では義務的経費が増加するなど、収支不足額がさらに拡大し、早急にその解消を図らなければならない状況となったところでございます。
そのため、平成18年の2月に、行政改革と財政立て直しを連動して一体的に取り組むため、「新たな行財政改革の取組み」を策定し、2カ年間で当初目標としておりました収支不足額の解消を図り、当面の赤字再建団体への転落は回避できたところであります。
しかしながら、平成19年度の肉づけ予算を編成した後、歳入、歳出両面から見込み得るさまざまな変動要素を加味した結果、収支不足額がさらに拡大する見通しとなりましたことから、新たな収支対策を講じることを前提とした中長期収支試算をお示ししたところであります。
道といたしましては、こうした新たな収支対策を講じることで、当面の赤字再建団体への転落の回避が可能となりますものの、なお収支不足額が生じるという、厳しい財政見通しにありますが、こうした取り組みを着実に実施することで、持続可能な行財政構造の確立につながるものであると考えているところでございます。
○(議長釣部勲君) 経済部長渡辺健君。
◎(経済部長渡辺健君)
(登壇)若年者の雇用対策に関し、初めに、本道の雇用情勢についてでありますが、本道の完全失業率は、平成15年平均で6.7%であったのに対し、平成19年平均で5.0%となっておりますが、同年の全国の完全失業率は3.9%であり、全国の数値と比べて1.1ポイント高くなっているところであります。
また、本道の有効求人倍率は、平成15年平均で0.44倍であったのに対し、平成19年平均では0.51倍となっておりますが、同年の全国の有効求人倍率は1.00倍であり、全国の数値と比べて0.49ポイント低くなっているところであります。
このように、本道の雇用情勢は、15年と19年の比較では改善傾向にあるものの、全国との比較では、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。
次に、雇用創出基本計画についてでありますが、次期計画では、現下の雇用情勢などへ的確に対応するとともに、人口減少社会の本格的な到来への備えにも留意していくことが必要との認識に立ち、雇用の受け皿づくりと就業の促進を2本の柱として取り組みを進めていく考えでございます。
雇用の受け皿づくりとしては、地域の経済、雇用を支える中小企業の育成強化、企業誘致の戦略的な展開、地域の特性を生かした産業の振興などを通じて、雇用機会の拡大を図ることとしており、就業の促進としては、若年者の就業支援を初め、高齢者、障害者といった多様な働き手に対する就業支援、非正規労働への対応を含めた就業環境の整備、産業人材の育成確保などに取り組んでいくこととしております。
道といたしましては、国や関係機関との連携を強化しながら、産業政策と雇用政策を両輪として次期計画を推進し、1人でも多くの雇用が創出されるよう取り組んでまいる所存であります。
最後に、労働教育についてでありますが、道といたしましては、労使双方が、賃金や休日、労働時間などを規定する労働基準法や、快適な職場環境の形成、労働災害防止を規定する労働安全衛生法などの労働関係法令をよく理解し、これを遵守する環境づくりとしての労働教育は重要と考えているところでございます。
こうしたことから、これまでも、労働者と使用者双方を対象にして、労働問題に関するセミナーの開催や労働ガイドブックの配付などを行ってきているところであり、今後とも、国と連携を図りながら、労働関係法令や各種制度の周知、啓発に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(議長釣部勲君) 教育長吉田洋一君。
◎(教育長吉田洋一君) (登壇)勝部議員の御質問にお答えいたします。
初めに、キャリア教育にかかわってでございますが、児童生徒に望ましい勤労観、職業観を育成するとともに、労働基本権など職業生活に必要な知識を身につけさせることは、大切なことであると考えております。
このため、学校におきましては、インターンシップなどの体験活動を行うとともに、中学校社会科や高等学校公民科などにおいて、勤労の権利と義務や労働問題について学習するほか、総合的な学習の時間などで、企業の人事担当者などを講師とした講演会などを実施しているところでございます。
道教委では、平成18年に道経済部が発行いたしました「働く若者ルールブック」をすべての公立高等学校に配付し、進路指導などに活用するよう働きかけたところでございまして、今後とも、関係機関との連携を一層密にし、各学校におけるキャリア教育がさらに充実するよう努めてまいりたいと考えております。
次に、これからの本道教育のあり方に関しまして、まず、今後の方向性についてでございますが、現行学習指導要領は、各学校が創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、子供たちに学習にじっくり取り組める時間を確保し、豊かな人間性や基礎、基本を身につけさせ、個性を生かし、みずから学び、みずから考える力などの生きる力を培うことを基本的なねらいとしたものであります。
こうした生きる力をはぐくむという基本理念は、このたびの学習指導要領の改訂に当たりましても引き継がれると認識しておりまして、私としては、これまで以上に、確かな学力や豊かな心、健やかな体をバランスよくはぐくんでいくことが大切であると考えております。
次に、学力のとらえについてでございますが、今日求められている学力につきましては、基礎的、基本的な知識、技能のほか、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力や、学習意欲などを含めた幅広いものととらえておりますが、同時に、意欲と自信を持って楽しく学習する中で、基礎、基本をしっかり身につけさせることが重要であると考えております。
私としては、本道のすべての子供たちにこうした学力を身につけさせるに当たっては、豊かな心や健やかな体をはぐくむことと一体的に行われることが極めて大切だと考えております。
次に、学力向上に向けた取り組みについてでございますが、子供たちに確かな学力を身につけさせるためには、子供たちの発達段階や特性などを十分考慮し、学ぶ意義や価値を理解させ、わかる授業や楽しい授業を行うとともに、一人一人が基礎、基本をしっかりと身につけることができるよう、個に応じた指導の充実を図るなど、指導方法や指導体制の工夫改善に努めることが極めて大切でございます。
また、各学校においては、子供たちに主体的に学ぶ態度を養うため、家庭との連携を図りながら、学習習慣の確立を図る取り組みを推進したり、子供たちの学習状況や実態に即し、さまざまな機会を通じて子供の学びをサポートするなどして、確かな学力の向上に向けて取り組んでいくことが大切でございます。
次に、フィンランドの教育についてでございますが、私どもが得ている情報では、フィンランドでは、例えば、教員1人当たりの児童生徒数が少なく、少人数指導が徹底されていること、教員がすべて修士課程修了が要件となっているなど専門性が高いこと、児童生徒が主体的に学習活動を進めることができるよう、多様な興味、関心や能力などに応じて、さまざまなプログラムが用意されていることなどの特徴があると聞いているところでございます。
フィンランドと我が国の教育制度などが異なっておりますことから、本道教育に一概に取り入れることは難しいものと考えておりますが、子供が、みずから課題を見つけ、解決していくプロセスを重視した教育や、子供一人一人に応じた教育を推進するという考え方につきましては、道教委が進めております生きる力をはぐくむ教育と相通ずるものがあると受けとめているところでございます。
次に、教員の多忙化解消と行き届いた学習の保障に関しまして、まず、教職員の勤務実態についてでございますが、平成15年度に道教委が独自で行った調査によりますと、教員の時間外勤務は、月平均22時間ということでございました。
これに対しまして、平成18年度に文部科学省が行いました調査におきましては、全国の月平均時間は34時間となっております。
これらの調査につきましては、その調査方法が異なりますので、単純に比較することは困難でございますが、多忙化の傾向にあるものと認識をしているところでございます。
また、時間外勤務の主なものといたしましては、教材準備や補習などの学習指導に関する業務、学級便り作成などの学級担任に関する業務、部活動指導や大会引率などが考えられるところでございます。
次に、時間外勤務の縮減についてでございますが、道教委といたしましては、ただいま申し上げた実態を踏まえ、平成16年度に、時間外勤務・業務の縮減等に向けての指針を策定いたしまして、市町村教育委員会と連携して、時間外勤務の縮減に向けた取り組みを行っているところでございますが、一方で、学校では、教科指導や生徒指導などの日常業務はもとより、いじめ・不登校問題など、解決しなければならない今日的な多くの課題を抱えている状況にございます。
このようなことから、道教委といたしましては、市町村教育委員会や学校などと連携して、引き続き、校内業務の見直しや簡素効率化を進めるとともに、調査業務の定例化、集約化などについて、現在、鋭意検討を行っておりまして、今後、この検討結果を踏まえ、学校における時間外勤務の縮減に向けた取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。
次に、校内組織にかかわってでございますが、学校におきましては、教職員が相互にコミュニケーションを図りながら、一人一人の専門性、自主性、創造性を存分に発揮し、活力に満ちた教育活動が展開されるようにすることが大切でございます。
そのため、道教委といたしましては、市町村教育委員会における、学校を支援するための学校地域支援本部の設置や、退職教員等外部人材活用事業などを通して、各学校において、教職員が児童生徒と向き合う時間を確保するほか、子供一人一人を大切にした教育活動が組織的に展開されるよう、管理職の研修会などを通じて指導助言に努めるなど、市町村教育委員会と連携を図りながら、今後とも積極的に支援をしていきたいと考えております。
次に、学校に対する苦情等の対応についてでございますが、学校におきましては、自校の教育方針や学習の状況などを保護者などにわかりやすく伝えたり、教育活動に協力いただくなど、日ごろから保護者などとの信頼関係を構築することが大切であると考えておりますが、こうした中で、いわゆるモンスターペアレントの問題が大きく取り上げられるようになってきております。
本道におきましては、教育局を通して把握している件数は極めて少ない状況にございますが、子供が所属する学級に対する自己中心的な要望を執拗に主張したり、生徒指導上の問題が解決したにもかかわらず、管理職に対し必要以上に苦情を繰り返すなど、学校として、その対応に苦慮している実態もあると承知をしております。
こうした問題を含め、各学校が危機管理に適切に対応する際の参考となる事例を掲載した手引を作成いたしまして、本年度、配付したところであり、今後におきましても、相談があった場合は、各教育局を通じて市町村教育委員会を支援するなど、速やかに対応してまいる考えであります。
次に、非常勤講師の配置についてでございますが、平成20年度の政府予算案におきましては、子供と向き合う教員の時間の拡充のため、退職教員などを活用した非常勤講師の配置のための予算が新たに盛り込まれたところでございます。
道教委としては、1月に発表いたしました北海道学校改善支援プランに基づき、学力向上に向けた取り組みを行う小中学校や、小中学校などに専門的な支援を行う特別支援学校に対しまして、初年度である平成20年度におきましては120名程度の非常勤講師を配置していきたいと考えております。
次に、重症心身障害児・者への教育に関しまして、まず、養護学校高等部の訪問教育についてでございますが、本道では、高等部単置校と分校を除く、すべての道立養護学校において、障害が重く、通学が困難な児童生徒の教育の機会を確保するため、家庭や病院、施設などに教員を派遣して指導を行う訪問教育を実施しておりまして、高等部においては、平成9年度からのモデル実施を経て、平成13年度から本格実施しております。
この本格実施の際、既に養護学校中学部を卒業している方で、高等部における訪問教育を希望した方につきましては、現在、訪問教育学級の定員の範囲内で、可能な限り受け入れを行っているところでございます。
最後に、就学猶予・免除者への対応についてでございますが、学校教育法において、病弱や発育不全などの理由によって就学が困難であると認められた場合、市町村教育委員会が、その保護者に対して、小中学校などへ就学させる義務を猶予または免除することができることとされておりまして、こうした制度は、昭和54年の養護学校の義務制施行前におきましては、主として、障害のある児童生徒に適用されてきたところでございます。
重症心身障害児・者の団体などから、就学猶予・免除者に対する就学機会の確保について要望されているところでございますが、障害を理由として、就学を猶予、免除された方に対する教育につきましては、実態把握や指導体制などに大きな課題があり、道教委としては難しいものと考えておりますが、今後、他都府県の状況などを把握してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(議長釣部勲君) 勝部賢志君。
◆(34番勝部賢志君)
(登壇・拍手)(発言する者あり)それぞれに答弁をいただきましたが、再質問いたします。
初めに、行財政改革が北海道経済に与える影響をどのように分析しているのか、伺いましたが、明快な答弁はいただけませんでした。
経済の活性化を図る上でも、雇用拡大の目標を設定する上でも、行財政改革による影響が明らかにならなければ、目標すら立てられないと思います。
公共事業費の道予算での削減や、国の公共事業の減少、さらに人件費の削減で、どの程度雇用が減少するのか、それぞれの影響の度合いを正確に把握すべきと考えますが、再度、見解を伺います。
地域での道民生活が厳しくなっている現状で、何としても6000億円の借金減らしをしなければならないというのが、どうもいま一つ納得できないところです。なぜ6000億円なのか。こだわるわけではありませんが、6000億円の根拠がよく理解できません。
6000億円とは、道の1年間の予算のおよそ20%に当たります。これは、決して少ない額ではありません。例えば、道債残高を7年後に5兆3000億円にするという計画だって成り立つのだとしたら、今は、当面、地域経済の活性化や雇用拡大にその分を充てるという考え方も成り立つのではないかと、率直に思うのですが、再度、知事の見解を伺います。
次に、雇用創出基本計画で示されている4年間で10万人の雇用を創出するという目標の実効性についてお聞きしました。
先ほど指摘したように、行財政改革での影響が明確でなければ、目標すら立てられないのではないかと思うのですが、そもそも、10万人という目標には減少分の数は反映されているのでしょうか。
つまり、公共事業の削減で1万7000人、国の公共事業の削減で1万6000人、人件費削減でさらに相当数の影響があるとする、その数を計算に入れて立てられた目標なのかということをお聞きしているのであります。
次期の雇用創出基本計画において、公共事業の縮減による雇用への影響などのマイナス要素にどのように目を向け、対処しようとしているのか、再度伺います。
若年者が地域で働き、地域に住んで、そこで結婚し、子供を産み育て、地域を支えていくということは、北海道の人口が減ってきており、少子化対策が思うような成果が上がらない中で、地域を活性化させるためにも、大変いいことだと思います。
その意味でも、高校を卒業した若者が地域で仕事につくことができる環境をしっかり整えていくことも、道として積極的に取り組むべき課題であることを指摘しておきます。
次に、これからの本道教育のあり方について教育長から御答弁をいただきましたが、これまでの考え方や成果を踏まえた上で、あくまでも子供の意欲や主体性を引き出し、子供の状況や実態に十分目を配るなど、子供を中心にした、わかる授業、楽しい学校づくりに邁進していただきたいと思います。
さて、フィンランドの教育の特徴の一つは、図書の充実と読書の習慣が浸透した言語能力の高さです。もう一つは、教師の地位と養成課程の質の高さです。そして、最大の特徴は、徹底した少人数学級など、教育の機会均等と平等教育が実現されており、成績下位者の数が圧倒的に少ないということです。
思い起こしてみれば、日本の教育も、まさにこのことを目指してきたのではないでしょうか。教育の機会均等、教育の無償は、まさに憲法や教育基本法に規定された日本の教育制度のすぐれたところであります。
落ちこぼれをつくらないとして、すべての子供にわかる授業を目指してきた、そのことが日本の学力の高さを維持してきたのではないでしょうか。
しかし、近年、平等教育が弊害だとされたり、財政難から、教育費も削減され、有償にしていこうとする動きが出てきたり、何もかも競争させて高めていこうとする手法だけが強調されたり、フィンランドの教育と比べたら、日本は、まさにその逆の状態になっているようにうかがえます。
情報化社会の進行で、読書離れや文字離れが進み、語学力が低下しています。教師自身の問題ももちろんあるかもしれませんが、学校や教師に対する期待感が高じて、批判的な風潮が高まり、教師に対する信頼や尊敬が低下していることは否めません。
そして、いじめなどの問題で、教室が、学びの場としての居心地のよさを失っていることや、落ちついてじっくり勉強する環境になっていないことも事実です。
そして、さらに公教育にも塾が参入してくるなど、市場原理が導入され、学校間・地域間格差が拡大し、教育を受ける権利も、勝ち組、負け組があって当たり前というような考え方が蔓延しており、経済力のある家庭の子供と、そうでない子供の学力に差が出てくるような時代になっているのではないでしょうか。
教育の機会均等が制度の上でも、内容の上でも保たれなくなってきていることに、私は大変大きな危惧を抱いているものであります。
今こそ、改めて、教育の機会均等、平等な教育の実現、すべての子供に確かな学力を保障する、わかる授業や楽しい学校の実現に向けて、道教委として最大限努力すべきことを指摘しておきます。
次に、教員の多忙化の解消について、なかなか有効な具体策は示されませんでしたが、このことを解消しない限り、学校現場が抱える課題を解決することはできません。仕事を楽にしてほしいということではなく、子供としっかり向き合う時間を確保することが今求められております。
多忙化の認識はあるようですが、多忙化解消への意気込みは、どうも感じ取ることができませんでした。多忙化につながっている要因をもう一度洗い出し、教育委員会がその解決に乗り出さなければ、学校現場にその解決策を求めても、限界があります。
例えば、膨大な調査や報告物などの思い切った簡素化を図ることや、業務を教育委員会が一部受け持つなど、改善する部分があるのではないかと考えますが、再度、教育長の見解を伺います。
支え合う職場づくりについて道教委の取り組みをお聞きしました。答弁は、校内組織のあり方という観点で語られましたが、これも、職場だけで解決できない要因がさまざまにあり、困難をきわめる状態になっているのではないかと思います。
例えば、多忙化もそうですが、教員の評価制度や、今回、導入を決めた査定昇給などは、逆に、支え合う環境を破壊しかねない、それこそ職場を分断するものとして、教育現場にはなじまないものです。
先日、職員団体が賃金カットや処分を覚悟でストライキに突入したのは、まさに、このような理由と背景があったからではないでしょうか。
子供たちのために向き合える余裕と、しっかりした体制を整えなければならない、そうしなければ子供たちの教育に責任が持てないという思いと、みずからの職場はみずからでつくり上げていくという思いで今も努力をしている学校現場をしっかりと支えるのが、多忙化の解消とあわせて、教育委員会の大きな役割であることを指摘させていただきます。
最後に、重症心身障害児・者の就学猶予・免除の問題について再度伺います。
自己の意思によらず、また、みずからの責めによらない事情で義務教育を受ける機会を失い、いまだその機会を与えられていないということは、そのまま放置すべき問題ではありません。
答弁は前向きなものとはなっていませんが、すべての環境が整わなければスタートできないというのではなく、できるところから手をつけていけばいいのではないでしょうか。
他県では、既に訪問教育を実施している県もあると承知しています。どのような形で取り組むことができるのか、検討すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
以上、再々質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
○(議長釣部勲君) 知事。
◎(知事高橋はるみ君)
(登壇)勝部議員の再質問にお答えをいたします。
最初に、財政再建と地域経済の立て直しに関し、まず、地域経済への影響についてでありますが、新たな収支対策に基づく投資的経費の縮減や各種の施策の見直しなどによる、地域や本道全体の経済産業などへの影響を初め、給与の独自縮減措置に伴うものなど、広範多岐にわたることから、具体的に試算することは難しいものと考えております。
一方、こうした影響を少しでも緩和できるよう、私といたしましては、さまざまな対策を講じるなどして地域経済の活力の維持向上が図られるよう、全庁を挙げて、総合的に推進してまいりたいと考えております。
次に、今後の施策展開についてでありますが、道財政の構造的な収支不足の大きな要因となっている道債償還費の縮減は、持続可能な行財政構造を確立するために取り組むべき大きな課題の一つであります。
また、このたびお示しをした中長期収支試算は、今後4年間、あるいは投資的経費については7年間の、新たな収支対策を講じることを前提としたものでありますが、現時点においては、本年度を含めて、いずれの年度においても収支の均衡が図れない、厳しい財政見通しにあります。
私といたしましては、行財政改革の加速化に努めると同時に、限られた資源を有効に活用した、めり張りのある政策展開により、活力にあふれ、安心して暮らせる北海道づくりを着実に進めてまいりたいと考えております。
最後に、若年者の雇用対策に関し、雇用創出基本計画についてでありますが、次期計画では、雇用の受け皿づくりと就業の促進を2本の柱とし、関係施策の実施により、4年間で10万人の雇用創出を目指すことといたしておりますが、計画の推進に当たりましては、失業者数や有効求人倍率などの動向を的確に把握し、施策の実施状況を評価した上で、毎年度策定する推進計画に反映しながら、施策の効果的な推進に努め、雇用の創出、維持安定を図ってまいる考えであります。
以上であります。
○(議長釣部勲君) 教育長。
◎(教育長吉田洋一君)
(登壇)勝部議員の再質問にお答えいたします。
まず、時間外勤務の縮減についてでございますが、時間外勤務の縮減は、教職員の健康などを考慮すると、大変重要な課題であると考えております。
また、時間外勤務の縮減を進めるに当たりましては、管理職員を初めとする一人一人の職員についても、その重要性を十分認識する必要があるものと考えております。
道教委では、学校における時間外勤務の縮減に向け、現在、複数の調査で重複している調査項目の整理、特定の時期に集中している調査の実施時期の見直しなどについて、鋭意検討を行っているところでございまして、今後、この検討結果を踏まえ、調査業務の定例化、集約化などに取り組むほか、校長会や教頭会などからも意見をいただきながら、会議のあり方や、簡素で効率的な事務処理について検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、就学猶予・免除者への対応についてでございますが、障害を理由として、就学を猶予、免除された方に対する教育につきましては、先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、実態把握や指導体制などに大きな課題があり、また、全国的に生じている事柄でもございますので、今後、他府県の状況などを早期に把握してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(議長釣部勲君) 勝部賢志君。
◆(34番勝部賢志君)
(登壇・拍手)(発言する者あり)再質問に対し、答弁をいただきましたが、私の質問の趣旨に沿い、内容をしっかりと理解されて御答弁をいただいたのかなという思いになるような答弁でありましたので、再々度お聞きをしたいというふうに思っておりましたが、2点、指摘をさせていただきます。
今回の行財政改革が北海道経済や雇用に与える影響をお聞きいたしましたが、具体的な数値には言及されませんでした。
また、知事が立てられた雇用創出10万人の目標も、このような影響を勘案していないとすれば、実際の雇用環境は、目標とは随分かけ離れたものとなってしまうのではないでしょうか。
私が入手した資料によると、北海道の公務員及び公務員に準じた方々の人件費が仮に1000億円削減されたとすると、約1万2000人の雇用が失われるという試算をしているデータもあります。
仮に、この数値から、今回の人件費削減による影響額を当てはめて推計すると、400億円で、約5000人の雇用に影響が出るという試算ができます。
先ほどの答弁で、相当の影響があることを認め、その影響を少しでも緩和したいと述べられましたが、地域の経済や雇用、そして道民一人一人の生活の実態を的確に把握することが、まず大切なのではないでしょうか。
道民に痛みを強い、財政再建に不退転の決意で臨むというのであれば、せめて、道民がどれほど厳しい状況に置かれているのか、知事は、まずその実態把握にこそ努めるべきです。
その上で、地域経済や雇用への影響を最小限に食いとめる努力をしながら、財政再建と地域経済の立て直しの両立を図っていくことが重要であることを指摘しておきます。
次に、教育課題についてです。
1947年3月、教育基本法の成立当時、義務教育の新制度を定める学校教育法が帝国議会衆議院の委員会で審議されました。
当時の様子が毎日新聞のコラムに掲載されておりましたが、その記事によりますと、委員18名のほぼ全員が質問に立ち、その中の1人が、今の状況で、すべての子供たちに、学校や教科書、鉛筆や消しゴムを用意することができるだろうかという趣旨の質問をしたところ、答弁に立った当時の文部省学校教育局長が、これからの我が国にとって、子供たちの教育は極めて重要な課題でありますが、今、すべての子供たちに、学校を建てることも、教科書や学用品を用意することも、私たちには残念ながらできませんと言って、そこからは涙声になり、しまいに、声を上げて泣き出したそうであります。
大人として、親として、子供たちに行き届いた教育を施してやりたいという気持ちから、それを聞いていた18人の委員と、文部省の役人や議会関係者ももらい泣きし、一言も口を開く者がなく、議論が5分間中断したという記録が残されているそうであります。
敗戦で何もかも失った日本が、日本と子供たちの未来のために、すべての子に義務教育を保障しようという熱い思いを持って学校教育法が審議されていたときのことをうかがわせるエピソードであります。
それから60年が経過して、そのような思いで成立した教育基本法が一昨年改正されました。なぜ改正が必要なのかということが、60年前のような熱意を持って議論されたかというと、決してそうではなかったと言わざるを得ません。
義務教育の理念や教育の本質論が軽んじられ、その時々の流れや雰囲気で方向が揺らぐようなことがあってはなりません。
学校教育は、さまざまな課題を抱え、公教育を支える財政が厳しい中、すべての子供に行き届いた教育を保障することが難しくはなってきておりますが、このようなときだからこそ、しっかり地に足をつけ、腰を据えて取り組まなければならないのではないでしょうか。
また、就学猶予・免除などの問題は、この義務教育が確立されるまでのはざまで起きた問題です。過ぎてしまった時を取り戻すことはできませんが、今なお、義務教育を受ける機会を求めている方々に、一刻も早く何らかの手だてが必要と考えます。
いずれにしても、未来を担う子供たちのために全力を尽くして取り組むことを求め、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)